第4章 お狐さんと
今日は誉さんに連れられて隣町の神社に来ている。ここまで来るときはじめじめとした暑さにうなだれていたのに、神社に着いたとたん空気が涼しくなり、霊感のない私でも特別な力みたいなものを感じる気がする。
「やっぱり神社の空気ってひんやりとしてて気持ちがいいですね」
「うむ、やはりこういう神聖な場所はワタシのインスピレーションを刺激するね」
そう言って誉さんはあちこち見て回ろうとするので私もついていく。
「ふむ…今回もまた名作の誕生だ!
澄み渡るインビジブル、古来平安のマジェスティック、鳴くよ鴬ホーホケキョ!」
「鴬って春なんじゃないですか」
「実は夏頃まで鳴く鳥なのだよ」
誉さんの豆知識にそうだったんだ…となる。誉さんはというと「また罪深いほど美しい芸術を生みだしてしまった!」と今にも鼻歌を歌い出しそうだ。今回も順調そうで良かった。
「誉さん、ここの神様に挨拶に行きましょう」