第2章 オーマイリルおでん
さて、残る2人はカラ松と一松だ。
「なんでもいいから勘定をたのむぜバーロー!」
酔っ払いには仕方なし、だがまたもツケで済ますことはできない。
そんな中でガタンと席を立つのは、一松。
何を考えているのか全くわからないジョーカーがついに、ついに動き出す。
「...何でもって言ったよね?今?」
お金の話ではなくチビ太の言葉を確認しはじめる。
「あ、あぁ...」
「...なんでもいいから勘定をっていったよね?」
念入りに確認するあたり、絶対に良い事を考えているはずがない。
「仕方ないね、じゃあもし...仮にだけどさ...オレがそこいらへんのリア充どもから数千円ずつかつあげした金でも文句言わないって事だよね?」
犯罪じみたというか、いきなり窃盗の話をしはじめる。恐ろしいを通り越してもはや正気ではない。
「ババババ、バーロー!いくらなんでもそこまで...」
じとーっとした目を一切そらさずにチビ太を見つめ続ける一松。その周りからは黒いオーラが立ち上っているかのように見える。そのすごみのせいか、ダラダラとチビ太から冷や汗が流れ落ちて止まらない。
「...いいの?野に放って?知人が犯罪者になっても?」
「い、いいわけねーだろ!バーロー!!」
その一言ににたぁっと一松の口元に三日月ができる。
細い細い三日月が...。
「だよねぇ?そもそもオレがこの話をチビ太にして、それをした時点で刑法第256条が成立するだろうから、チビ太も3年くらいは豚箱いきだけどね...」
危険なBGMが流れてきそうな空間に、にやりと怪しい笑み。もはや放送事故である。
「お、おおおおっそろしい事言うんじゃねえ!」
「...いいの?道ずれで犯罪者になっても...ひひっ」
「いいわけねーだろ!!けぇれ!バーロオオォ!!」
チビ太の一言に満足そうに笑うと黒い影は1人去っていった。