第2章 オーマイリルおでん
さて、残された4人はカラ松、チョロ松、十四松、一松だ。
「何でもいいから金払いやがれ!」
ずいっと伝票を出すチビ太、毎度毎度彼の苦労はたえない。だがここでまた一波乱が起こる。
「うっぷ....」
口元に手を抑えて顔を青くしはじめるは、ライジングチョロシコスキー橋本ニャーLOVEフォーエバーだ。長いのでチョロ松と略そう。
彼は他の兄弟達より酒が弱い、そのくせに酒好きなものだから収拾がつかないのだ。
人の酔い方は数多ある。暴言を吐く、寝る、泣き上戸、ゲラ、絡み酒、などなどだ。
多くの人は、自分が酔っ払った時どれだけ人様に迷惑をかけているかはわからないだろうが、処理する側になれば鮮明に覚えているだろう。
数多ある酒酔いの中でも、なかなか厄介な酔い方を凝縮したのが他でもないチョロ松である。
暴言を吐き、終いには...。
「おろろろろろろ!!」
上からフィーバータイムである。
トイレが備え付けられていない屋台でこの行為をされると、非常に厄介だ。
「あはは!チョロ松兄さん!大丈夫っすかー?」
手で鼻あたりをおおいながら、背中を擦り出すのは十四松だ。笑っているが彼の嗅覚は人以上、よく耐えれるものだ。
「てやんでぇ!こんちくしょう!店先でなんてもん出してんだ!早く連れて帰りやがれ!」
ぶっきらぼうにいいつつも、さり気なくおしぼりと冷たい水を差し出すチビ太。
彼は本当に松野ブラザーズの友人なのだろうか?
よく出来た人である。
そんな中1番力のある十四松が、よっこいしょとチョロ松をおぶりだす。
「ありが特大サヨナラホームラン!おでん超絶美味かったよー!!」
「へっ、よせやい!オイラのおでんがうめーのはわかりきってんだからよ!」
嬉しそうにニカッと笑ってお見送りをするチビ太。
十四松は片手でチョロ松を支えつつ、ブンブンと手を振って闇夜に消え去っていった。