第5章 〖 繋いだ指先の行方 〗 人気投票2位記念 岩泉 一
及「い~わ~ちゃ~ん!!遊ぼ~!」
来たな及川・・・
最新のアイツは、バレーボールばっかりじゃねぇか。
昨日も、一昨日も、その前も、その前も、その前も・・・
及「お~い!岩ちゃ~ん?!」
・・・うるせぇな。
及「岩ちゃんってば!」
「うるせーってんだよ及川!ちょっと待ってろ!」
ったく、及川め。
夏休みに入ってから毎日誘いに来やがって。
俺はやりかけの宿題をサッと終わらせ、玄関の外で待つ及川のところへ行った。
「で?今日もバレーボールか?ったく、毎日飽きねえな!」
及「だって・・・1人じゃ練習出来ないし、岩ちゃんはブーブー言いながらも一緒にやってくれるじゃん」
キラキラした笑顔で言われると、俺も別に嫌な気はしない。
・・・しないけども!
及「いたたたたっ!岩ちゃん!顔掴むの止めてよ!」
「うるせぇ!なんかムカつく・・・行くぞ。いつもの公園だろ」
2人で並んで歩きながら、結局は及川のバレーボールのなんちゃら話を聞かされる。
「お前さ、なんでそんなに・・・えっと、セッター?とかになりたいんだ?バレーボールだったらよ、打つヤツとか」
及「スパイクね」
・・・・・・。
「そうそれな。あとボール拾うやつとか」
及「レシーブね」
・・・・・・。
「イチイチ言い直すなよ!めんどくせーな。とにかく、そういうやつの方が目立つしカッコよくみえんじゃねーのか?」
及「いいのいいの!オレはセッターで天下を取るんだから!」
意味分かんねぇ。
及「スパイクとかレシーブも、もちろん上手くなる予定。でも、セッターは・・・セッターをやらせるなら及川の他にはいないって・・・言わせたい。それに、セッターっていうのはさ、地味に見えて、実は、」
「ふ~ん・・・」
そんなに面白いか?
他のヤツらはやきとかサッカーとかやってんのに。
及「岩ちゃん聞いてる?!オレと一緒にてっぺん目指そうよ!」
「意味不明なこと言ってんな」
及「意味不明なんかじゃないよ!オレと岩ちゃんとだったら絶対目指せる!」
「あ~、はいはい」
適当な相づちをしながら公園へ入る。
・・・ん?
アイツ・・・また1人で遊んでる。
そう言えば昨日も、その前も・・・?
俺達がいる時は、だいたい・・・いるよな?
1人でブランコに乗ってて、薄暗くなる頃に兄ちゃんが来て。