第4章 僕らのお姫様 (桜太&慧太)
慧「おい、桜太?起きろって!こんな所で寝てたら風邪ひくぞ」
誰?
ん・・・・・・慧太?
「・・・こんな所でって、慧太と紡も一緒に・・・」
慧「なに寝惚けてんだよ、起きろって!」
眠い目を擦りながら体を起こすと、買い物袋を下げた慧太が笑っている。
「あれ?ん?・・・なんだ夢だったのか・・・」
慧「夢?なんの?」
「そう、夢見てたみたい。俺達もまだ子供で、紡がまだ歩き出す前の・・・」
軽く伸びをして、目の前に広がるアルバムや写真を見て納得する。
これを見てたから、あんな夢を見たのか・・・
慧「夢、ねぇ・・・でも珍しいな、桜太がテーブルに突っ伏して寝てるとかよ」
「ここ何日かハードだったからね。ちょっと疲れてたのかもな。日勤の日に、そのまま当直状態になったりとか、色々と、ね」
慧「だな。俺はともかく、桜太は紡に付きっきりって訳にはいかねぇしな・・・って事で、はいよコレ」
テーブルにコトリと音をさせながら、慧太がドリンク剤を置いた。
「ありがとう、慧太。本当はコレにはお世話になりたくないんだけど・・・今回ばかりは仕方ないかな」
軽く笑って受け取り、キャップを開けて一気に飲んだ。
慧「心配しなくても、カフェインレスだから」
「・・・なかなかやるじゃん?」
飲み終えた瓶を片付けながら言うと、慧太は冷蔵庫に買って来たものをしまいながら満更でもない顔を向けてきた。
慧「せっかく休める時間あるのに、桜太はアルバム広げて何してたんだ?もしかしてアレか?必殺寂しんぼうか?・・・イテッ」
ニヤニヤしながら言う慧太の背中を軽く叩き、棚の上から煙草を取り出した。
慧「珍しいな、桜太がそれに手を出すとか。普段は全然なのによ?」
「まぁね。なんかいろいろ思い出しちゃってさ、気晴らしだよ・・・慧太も一服しに出る?」
慧「なになに?一服するのも寂しんぼうか?」
「先行ってるよ」
ニヤリとしながら言う慧太にそう言い残して、ひと足先にリビングからウッドデッキへと出た。
煙草を燻らしながら、ボンヤリとした頭をスッキリさせる。
1分と経たないうちに慧太も外へ出て来て、同じ様に煙草を燻らせ始める。
慧「で?悩める若者よ、君は何を悩んでるんだ?」
「それはいったい誰のマネだよ・・・」
慧「ん?正義のヒーロー?」