第4章 僕らのお姫様 (桜太&慧太)
慧「もう疲れた。全然いいのが思いつかない」
「慧太、もうちょっと考えてみようよ?」
慧「ムリ~」
そう言いながら慧太は手足を伸ばしてベッドに寝転がってしまう。
「慧太はあきらめるの早過ぎだよね~紡?」
『だぁ~・・・』
「紡も眠たいの?」
僕のシャツを掴んだまま、紡は小さなあくびをして顔を僕の胸にゴシゴシと付けてきた。
こういう時の紡って、眠い時なんだよね。
小さなあくびに僕もつられながら、ポカポカしてきた紡を慧太の隣に並べて寝かせた。
お腹を優しくトントンとしながら、紡が目を擦ったり、あくびをしたりするのを隣で見ていると、だんだん僕も眠くなってくる。
慧「桜太、これ見て?」
慧太に呼ばれ、言われた場所を見ると紡が慧太の指を掴んでウトウトし始めていた。
慧「ヤバイよな?超かわいいよな?」
「そうだね・・・僕もやってみよう」
紡の小さな手に、そっと指を近づけてみる。
うっわぁ、僕の指も掴んでる・・・
「かわいいなぁ」
慧「だよな?僕たちだけの、大事なお姫様だしな」
「そうだね。紡が大人になってお嫁さんになるまで、僕たちが守ってあげなきゃね」
慧「あ、アレ言ってみたい。紡と結婚したかったら僕たちを倒せ!って。正義のヒーローみたいでカッコよくない?」
「慧太、お子様な発言やめろよなぁ。でもさ、紡が好きになる人って、どんな人なんだろうね・・・」
慧「お兄ちゃんたちみたいに優しくてカッコイイ人!とか言われたら、嬉しいよな」
「あはは。そんなこと紡に言われたら、お嫁になんか行かせたくなくなるよね」
僕がそう言うと、慧太は、それはそうだよなと言って笑う。
その後は紡を挟んで僕たちは寝転がったまま、学校のことやバレークラブのこととかを話している内に、気がつけば紡も慧太も眠ってしまっていた。
慧太はやっぱりお子様じゃん。
小さく笑いながら、タオルケットを引き上げて3人一緒にくるまった。
おやすみ、僕たちのお姫様。
ずっと一緒にいてあげるから、優しくて元気な女の子になってね?
そしていつの間にか僕も、紡の暖かさに引き寄せられて眠った。