第3章 小さな手のひらに大きな愛を (西谷 夕 ・特別番外編)
「潔子さん!オレは朝から潔子さんにお目にかかれて光栄ですっ!」
いつもと同じ様に潔子さんの後をついて歩きながら、その麗しい後ろ姿を眩しく見ていた。
清「西谷、朝からうるさい」
きっ・・・潔子さんにうるさい頂きましたァ!
『わぁっー!菅原先輩って今まで気が付かなかったけど、いい香りがしますー』
紡?
少し離れた背後から、紡の声が聞こえてオレは振り返り・・・硬直する。
な・・・なっ・・・?!
「なぁにやってんスか!スガさん!!今すぐ紡から離れて下さい!!」
オレはこれ以上ないくらいにダッシュで紡の所へ戻る。
「スガさん!!・・・マジで紡だけはダメっすよ!!」
菅「いや、今のはだなぁ・・・」
ハッと気がつけば、スガさん以外の3人はオレを見て笑っている。
・・・なんだ?
どうなってんだ?
『西谷先輩?今のは菅原先輩は悪くありませんよ?・・・だって、菅原先輩はなぁんにもしてませんから』
「いーや、オレは見た!」
『だから、違いますって。今のは私からギュッとしたんです』
・・・はァァァァ?!
なんだって?!
「紡・・・お前、まさか・・・スガさんと、早くも浮気・・・とか」
確かにスガさんはところ構わず紡にちょっかい出してくる。
それに紡だって特に嫌がる事はあまり、ない。
慣れてしまうほどに、オレの知らない所でいろいろいろいろいろいろいろいろ・・・
「オレの事・・・死ぬほど好きだって言ったのは・・・ウソ・・・なのか?」
『えっ?!』
ポソッと漏れた声に、紡が慌て出す。
澤「死ぬほど・・・」
菅「・・・好き?」
『に、にに、西谷先輩?!朝から急に何言ってんですか!』
旭「ハハ・・・随分と情熱的だなぁ」
『違いますから!』
「え、違うのか?」
『違わないけど!あ、えっと、そうじゃなくて!それを言うなら、西谷先輩だって・・・その・・・』
顔を真っ赤にしながらモゴモゴと言う紡を見て、今のはオレの勝ちだな?と密かに笑う。
「ん~?オレが、なんだって?」
『に・・・西谷先輩の方が・・・先に・・・ですね・・・』
紡が言いたいことは、聞かなくても分かる。
確かにそれは、オレが先に言った言葉だ。