第3章 小さな手のひらに大きな愛を (西谷 夕 ・特別番外編)
~ 紡 side~
怒涛の1日から、早くも1週間が過ぎた。
前と違うのは、あの日から毎日必ず私を家まで送り届けてくれている。
もちろん、ちゃんと手を繋いで。
朝だって変わった。
門の前で待ち合わせではなく、坂ノ下商店の辺りまで迎えに来てくれている。
そこで影山は日向君に負けないように毎回走り出し、私はのんびりと西谷先輩と朝練へ向かうようになった。
唯一、前と変わらないのは・・・
清「城戸さん、おはよう。ついでに西谷も」
『清水先輩、おはようございます!』
西「潔子さん!おはようございます!・・・潔子さん・・・今日も朝からお美しい・・・」
これだもんなぁ・・・
清水先輩が現れると、西谷先輩はパッと繋いだ手を離し、清水先輩のお供をしながら体育館へと向かってしまう。
澤「おはよう。西谷は懲りてないな・・・」
旭「アレだけ大変な思いをしたはずなのに・・・」
菅「ホントだよ・・・どうしようもないな」
その声に振り返ると、3人の先輩達は私に苦笑を向けていた。
『おはようございます。心配はいらないですよ?西谷先輩のアレは、もう病気だって分かってますから。それに私、対処法を思いついたから、イザとなったら・・・』
澤「西谷の対処法?それってどんな?」
『知りたいですか?・・・それには1人、生贄が必要なんですけど・・・』
旭「いっ、生贄?!」
『とりあえず今回は初の試みなので・・・菅原先輩、宜しくお願いします』
菅「えっ?オ、オレ?」
たじろぐ菅原先輩に、いきますよ?と言って私からギュッと抱きつく。
菅「紡ちゃん?!」
『わぁっー!菅原先輩って今まで気が付かなかったけど、いい香りがしますー』
・・・若干、棒読みだったけど仕方ない。
そっと西谷先輩を覗きみると私の声が聞こえたようでコチラを凝視していた・・・
西「なぁにやってんスか!スガさん!!今すぐ紡から離れて下さい!!」
叫びながら、物凄い速さで西谷先輩が戻って来た。
『ね?効果抜群でしょ?』
私は笑いながら、困惑している菅原先輩を見上げた。