第3章 小さな手のひらに大きな愛を (西谷 夕 ・特別番外編)
~ 紡 side~
疲れた・・・
大半は西谷先輩が拾ったけど、私だってフラフラ遊んでたわけじゃない。
おかげでアチコチ痛い・・・
最後の1球を終えた時点で、私はその場にへたりこんだ。
西「おい、立てるか?」
手を差し伸べながら西谷先輩が側に立った。
『まぁ、何とか・・・』
西谷先輩の手を借りて、私も立ち上がる。
西「お前、ムチャし過ぎ!見てみろ!そこら中アザだらけじゃねぇか!」
いつもと違う髪型で、いつもと同じように大きな声で私を叱咤する西谷先輩を見て笑顔を見せた。
『そんなカッコイイ姿で怒っても、怖くなんかないですよ?・・・西谷先輩?』
西「カッコ・・・オレは真剣に言ってんだよ!」
旭「まぁまぁ西谷?大きなケガもなく終わったんだから、いいじゃないか」
タオルを片手に東峰先輩が笑う。
西「そういう問題じゃナイっす!コイツ旭さんのスパイク止めようとしたんスよ?!」
・・・確かにあの時、思わず手を伸ばしてしまって。
でも結局はちょっと届かずに終わったんだよね。
『悔しかったなぁ・・・あとちょっとだったのに・・・』
西「アホか!!」
ひときわ大きく叫ぶ西谷先輩に、みんなで笑った。
澤「集合!!!」
澤村先輩の声がかかり、私達もヘロヘロのまま集合の輪の中に入り、練習終了の声でそれぞれが帰る支度を始めた。
長い・・・1日だったな・・・
でも、凄く・・・嬉しい1日でもあった。
ー お前が死ぬほど好きだ!お前はオレの全てだ! ー
そう言ってくれた西谷先輩の姿を思い出しながら、私は清水先輩と一緒に女子更衣室へと向かっていた。