第3章 小さな手のひらに大きな愛を (西谷 夕 ・特別番外編)
レシーブ・・・300?!
「望むところです!」
タオルで髪をゴシゴシと拭きあげ、着替える為に放置していた鞄へと走る。
ザッと着替えを済ませ、コートに入る準備をすると紡の周りでは、まだ何やら騒いでいた。
日「城戸さん着替えないの?!だって全身濡れてんのに?!」
なんだって?!
『大丈夫、そのうち乾くから。リュックには入ってたんだけど・・・そっちも変わらないし』
そのうち乾くからって・・・アレだけびしょ濡れだったじゃないか!
影「おい、とりあえず俺の貸してやるから着とけよ」
『いいよ、平気。それに影山のじゃ大きすぎるから』
影「ないよりイイだろ」
影山のを・・・着せるわけには・・・でもオレも予備のを既に着ちゃってるしなぁ・・・
そうだ!!あれならある!!
オレはその目的の物を鞄から引っ張り出して紡の元へ急いだ。
「紡!これ着とけ!」
オレが突き出したものを見て、紡が目を丸くする。
『そ、そんな大事な物・・・着れません!』
「大事な物だからこそ、お前にしか着せねぇ!・・・いいから着ろ」
持って来たユニフォームを押し付け、手を引いて用具室に入る。
「早く着替えろ!風邪ひくだろ!」
『出来るわけないじゃないですか!西谷先輩も出てって下さい!』
背中をグイグイと押され、扉をピシャリと閉められた。
なんでだ?
少しの間その場で待っていると、着替えを終えた紡がそっと扉から出て来た。
『あの・・・変、じゃないですか?』
「・・・・・・・・・ヤバイ」
『え?』
なんだこの半端ねぇ破壊力は!!!
自分から着ろと言ったけど、ヤバすぎる・・・
紡が着ると少し大きめな感じのオレのユニフォーム・・・
その裾から出る細く白い足・・・
まだ濡れたままの、まとめあげた髪・・・
「オレ・・・お前の彼氏でよかった・・・」
『はぃ?』
「レシーブ300の前に、いいモン拝ませてもらった。ヤル気が漲るぜ・・・」
『よく、分かりませんけど・・・頑張って下さい・・・』
もちろんだとも!!
その後は紡を麗しの潔子さんに預け、オレは潔くコートに入った。