第3章 小さな手のひらに大きな愛を (西谷 夕 ・特別番外編)
旭「だ、だだ大地、け、警察、警察に電話しよう」
ー 暴れんなっつんだよ! ー
『んーっ!・・・やめてよ!急に頭掴まれたら驚くでしょ!影山のバカっ!!』
澤「え?」
菅「え?」
旭「えっ?」
・・・え?
影山?って、言ったか?
澤「城戸さん?!そこにいるのは影山か?!もしもし!おーい!!」
影 ー え?澤村さんの声? ー
『だから電話中だったのに!驚かさないでよ!』
影 ーお前が何度声掛けても返事しないからだろーが! ー
あ、いや・・・驚かされたのは、オレ達の方だっつーの・・・
澤「城戸さん?影山に、電話代われるかな?」
『影山ですか?ちょっと待って下さい。影山、澤村先輩が代わってほしいって』
影 ー なんで俺? ー
『いいから早く!待ってて貰ってるんだから!』
影「もしもし、代わりました」
澤「真っ暗な道に、間に合って良かったな。が!しかし!さっきの悲鳴やら何やらには、ここにいる全員の肝が冷えた。もう少しソフトに声かけてくれ、頼むから・・・」
影「・・・スンマセン」
澤「ま、とにかく影山が間に合ってくれて安心したよ。ちゃんと一緒に帰ってくれよ?ケンカせずに、だ」
影「はい。いつものように玄関先まで送りますから大丈夫ッス」
・・・玄関先まで?って。
それじゃ、まるで影山が彼氏みたいじゃんか。
オレ・・・ホントに何やってんだよ。
いや、何もしてないじゃんか!
澤「今回ばかりは影山に感謝だな」
菅「・・・だね?あの道、マジで真っ暗だしなぁ。1人で歩かせるとか思ったらゾッとするよ・・・」
電話を終えた2人が、そんな事を話している。
オレ、知らないことばっかりだ。
紡の帰り道がどんな所を通るのかも。
紡の家の場所も。
何も・・・かも・・・知らない事だらけだ。
紡の、大丈夫、平気、そんな言葉に甘えて・・・
これじゃ大地さんから聞いた紡の元カレと、同じだろ・・・
澤「西谷、明日こそは仲直りしろよ?お前が先に謝らないとダメなんだからな?」
菅「そうだね。じゃないと、紡ちゃんはこのまま・・・あ、いや、それはまだ・・・分かんないけど・・・」
「スガさん・・・何か知ってるんですか?紡がこのままって?!」