第3章 小さな手のひらに大きな愛を (西谷 夕 ・特別番外編)
菅「大地!影山が言ってる場所って、もしかしてあの道じゃ・・・」
澤「・・・確かにあそこは真っ暗な道だったな。まだ、防犯灯切れたままだったのか。清水、城戸さんが帰ってからどれ位?」
大地さんが言うと、チラリと時計を見て7分くらいだと答えた。
菅「大地・・・」
澤「まだ、間に合いそうだな」
大地さんがそう言いながらスマホを取り出し電話をかけ始めた。
その場にいる全員が、スピーカーをONにした大地さんのスマホから聞こえるコール音に耳を傾ける。
『はい、城戸ですけど』
澤「ごめんね、俺だけど!着替えたら聞こうと思ってた事があったんだけど、帰っちゃってたから電話した」
通話から聞こえる声に、ホッと胸を撫で下ろす。
『あ、すみません!急ぎの用事でしたか?』
澤「あ、いや、たいした用事じゃないんだけど、ば、絆創膏の予備ってドコにあるかな?って・・・あはは・・・」
『予備の絆創膏、ですか?それなら部室の右側の棚に保管してありますけど・・・?』
「うん、分かった。清水も帰っちゃってたからさ・・・ちなみに、今どの辺なの?」
・・・大地さん、上手い。
いや、褒めてる場合じゃねぇ!
問題は、暗い道を1人で歩いてるかどうかだ。
『どの辺って、ちょうど学校と家までの半分くらい・・・です』
澤「え?あ、そうなんだ・・・でもさ、その先って、確か防犯灯切れてて真っ暗い道じゃなかったっけ?いやぁ・・・前に歩いた時にスガが怖いって言ってたような?」
菅「大地・・・オレをビビリなイメージにすんなよ・・・」
スガさんがボヤくと、大地さんが人差し指を立てて静かにしろと見せる。
『あ・・・、そう言われるとそうでした。でも大丈夫ですよ、走りますから!』
澤「大丈夫じゃないって!走っても1人なのは変わらな、」
『ひゃぁぁぁぁ!!』
急に聞こえてきた紡の叫び声にオレ達は驚愕した。
澤「おいっ!大丈夫か?!・・・もしもし?!」
ー チッ・・・暴れんな! ー
男の・・・声、それに変な息遣いまで。
まさか・・・変質者?!
菅「紡ちゃん?!返事して!!」
スガさんも電話に叫ぶ。
『いや!離して!』
ー 騒ぐんじゃねぇ!静かにしろ! ー
『やめ、・・・んーっ!!』
口まで・・・塞がれた?!