第3章 小さな手のひらに大きな愛を (西谷 夕 ・特別番外編)
~菅原side~
何となくモヤモヤした気持ちを抱えたまま、2人で体育館へと戻る。
中では既に練習が始まっていて、紡ちゃんは扉を開けるのを躊躇った。
「オレが一緒だし、大地から許可だって貰ってんだから大丈夫だよ」
そう言ってオレが扉を開けた。
中を覗くと大地は清水と何かを話していて、扉が開いたことでオレ達が戻って来た事に気が付いた。
「さ、行こう」
足が重くなっている紡ちゃんの手を引いて一緒に体育館へ入り、大地の所まで歩いた。
「大地、ただいま」
澤「おかえり。任務完了かな?」
オレ達を見て、大地がニコリと笑った。
『澤村先輩、それから清水先輩も。練習遅れてすみませんでした。今日は・・・今日は最後まで、残りの時間は一生懸命働きます!』
紡ちゃんが深々と頭を下げると、大地も清水も、少しホッとした顔をオレに向けた。
澤「そうだな、たくさん働いて貰わないと、な?清水?」
清「そうね。じゃ、さっそくで悪いんだけど、洗濯機回して来て?」
そう言って清水は、カゴに山積みになったオレ達の着替えを指差した。
『はい!行ってきます!』
「重たいからオレも行くよ!」
『大丈夫です!菅原先輩は・・・カミナリ担当でお願いします!』
「あっ、紡ちゃんずるい!オレそっち担当かよ!」
笑いながら答えると、紡ちゃんもニコリと返してくれた。
澤「カミナリ担当?・・・って、なんだ?」
「あはは・・・大地は気にしなくていいの!こっちの話だから。それより清水、1人で行かせるとか・・・鬼?」
清「違う、人間。あの子を1人で行かせたのは、あの子の為よ」
「紡ちゃんの?どういう事?」
清「澤村、後は任せる。私はスクイズ洗ったりしなきゃいけないから」
清水は清水で、カゴに集めたスクイズを洗いに歩いて行く。
「で、どういう事なの大地?」
澤「あぁ、それな。清水からの提案なんだよ、実は。城戸さんが戻ったら、なるべくここにいなくてもいい仕事を頼もうってさ」
「・・・なんで?」
澤「ここにいたら、嫌でも西谷の姿を見てしまう。だったら仲直りするまでは別行動にした方がいいって。城戸さんの為にも、西谷の為にもね」
それはそれで、逆効果な感じもするとオレは思うけど・・・