第3章 小さな手のひらに大きな愛を (西谷 夕 ・特別番外編)
~ 紡 side~
こんな事になるなんて、予想なんてしてなかった。
西谷先輩があまりにも、清水先輩の事を追いかけるから寂しくて。
少し距離を開ければ、そんな寂しさも薄れると思って・・・なるべく必要なこと以外は離れてた。
だけどもう、一緒にいる事さえ出来なくなっちゃった。
いつもの場所に隠れて、次々と零れる涙も拭わず、その場に座り込んだ。
これから先、もう西谷先輩の隣を歩く事が出来ないことを思うと、悲しくて、寂しくて、どうしようもない気持ちで涙が溢れてくる。
泣いたって、仕方がないのはわかってる。
でも今は、泣きたい。
2回も同じ結末になるなんて・・・
顔にタオルを押し当て、声を漏らさずに泣き続けた。
菅「紡ちゃん発見・・・やっぱり、ここにいたね?」
ジャリっと音を立て隣に菅原先輩が腰を下ろしたのが分かる。
菅「少し、オレと話をしない?」
静かに言われて、私は横に首を振った。
菅「そっか・・・じゃあさ、聞くだけでも聞いてよ?ね?」
菅原先輩は私の頭にポンッと手を乗せ、そのまま撫でた。
菅「西谷の事だけど、さっきのは本音じゃないと思うよ?・・・確かに一昨日辺りから、西谷の調子が悪いってのは大地もオレも気付いてたけど。でも誰だってそんな日はあるからって、見守ってた」
それは、私も気付いてた。
昨日も、今日も、西谷先輩はイマイチ不調で。
だから尚更、何かと清水先輩を癒しにしてるんだと思ってた。
だから、私が声なんてかけなくてもいいって。
『私・・・なんで澤村先輩からの誘いを受けたんだろう。あの時、何が何でも断ってれば・・・西谷先輩とも会わなかったし、こんな事だって・・・』
菅「紡ちゃん・・・」
ずっと涙が止まらない私の隣に、菅原先輩は落ち着くまで黙って寄り添ってくれていた。
『菅原先輩だったら・・・』
菅「え?」
きっと・・・こんな思いはしなかったかも知れないのに・・・
『・・・何でもない、です』
ダメだ・・・
相当、弱っちゃったな・・・私。
菅原先輩だって、いつまでも私に構ってる時間なんかないよね。
お昼ご飯だって・・・
『あっ!菅原先輩のお昼ご飯!』
菅「オレの?」
涙でグシャグシャの顔を勢いよく上げ、そのまま菅原先輩を見た。