第3章 小さな手のひらに大きな愛を (西谷 夕 ・特別番外編)
なんで・・・オレだけ・・・?
そんな風にモヤモヤとイライラが蓄積されて行った・・・数日後。
『縁下先輩、ドリンクです』
『はい、影山』
月「ポチ、これいつもの?」
『そうだけど・・・何か変だった?』
周りにだけは、変わらず笑顔を振りまきながらスクイズを配り歩く紡にスゲェ・・・妬けてきて・・・
澤「少し早いけど、このまま昼休憩にしよう!各自水分補給もしっかりな!」
大地さんの声に返事もせず、早足で近付き紡の正面に立つ。
「紡、お前オレと一緒にいて楽しいか?」
『西谷先輩・・・?』
「楽しいかって聞いてんだ!」
なんで・・・黙るんだよ・・・
「紡!」
菅「おい西谷・・・急にどうしたんだ?」
スガさんがオレ達の間に入り、紡を背中に庇う。
「なん、で・・・なんで答えな、」
『楽しい訳ないじゃないですか!!』
スガさんを押し退け、声を上げながら紡が被せるように言った。
『いつもいつも西谷先輩は清水先輩の事ばかり追いかけてて・・・私は・・・何の為に一緒にいるんですか・・・?』
「それは紡も同じだろうが!力や月島や、他のみんなにだって愛想振り撒いて、オレがどれだけモヤモヤしてイライラしてたか分かるか?!」
『そんなの私だって!それなのに、いつも清水先輩の事ばっかり・・・』
「潔子さんはオレの中で1番なんだから仕方ないだろう!潔子さんは癒しで、」
『もう、いいよ・・・西谷先輩は、潔子さんは、潔子さんはって・・・もう、ウンザリです』
なんだよ、それ。
何で今頃、そんなこと言うんだよ・・・
「じゃあ、もう・・・終わりだな」
なに、言ってんだオレ・・・
『え・・・?』
「終わりだなって言ってんだよ。一緒にいるのは、オレじゃなくてもいいだろ。一緒にいなきゃって思えば思うほど気になって練習ミスるし、だったらオレ意外のヤツらにチヤホヤされて、笑ってろよ」
違う!
そんなこと言いたいんじゃない!
オレは・・・本当は・・・!!
『・・・バレーをやるのに、私は邪魔・・・って事ですか・・・?』
「・・・・・・そう、かもな」
『・・・?!』
菅「西谷!!」
なん、だ?
紡がいま、凄い・・・傷付いた顔した・・・