第37章 桜満開の心 ( 伊吹 梓 )
桜「今日はありがとう。伊吹さんがいてくれて、いろいろと助かったよ」
『熱は高いけど、大事じゃなくて良かったね。じゃ、私そろそろ帰るね』
桜「あ、待って。送って行くよ」
『まだ暗くないし大丈夫。私より、妹さんの側に付いててあげて?熱にうなされながら、おぅちゃん···って言ってたし』
···そう言って城戸くんの家から帰って、何日経つんだろう。
あれは確か···と、指折り数えてみれば、既に軽く1週間は経っていた。
学校でも姿見ないし···とは言ってもクラスも教室がある階も違うから、それは当然といえばそうだけど。
妹さんの事も気になってたし、いっそ城戸くんのクラスに行ってみればスッキリするかも?
お昼ご飯を食べて手早く片付け、城戸くんのクラスの前まで来てみる。
そっと教室の中を覗いて見るも、その姿は見当たらない。
「このクラスになにか用?」
背後から掛かる声に振り返れば、そこには両脇に女の子を連れた···城戸くんとは少しタイプが違う人が立っていた。
『人を、探していて』
「人?···誰?」
『城戸くん、って今日···』
「城戸?」
私が城戸くんの名前を出すと、その人はあからさまに不機嫌な顔を見せた。
「城戸なら、三日前から来てないよ。風邪とか言ってたっけ?まぁ、オレには関係ないけどね」
「和泉くん、早く行こうよ?」
「そうだね。あ、そうそう、城戸に会ったら言っといてよ。伝染されたら迷惑だから、完治するまではゆっくり休めってね。じゃ」
なんだろう、この、ちょっと人を不愉快にする転載的な感じの態度。
···和泉くん、とか呼ばれてたけど。
あまり関わらないように気をつけよう。
それより!
城戸くんが風邪で休み?!
それってもしかして、妹さんのが伝染っちゃったとか?!
でも、確かめるにも連絡先とか知らな···あっ!!
クラス委員の名簿!
確かあれに住所や電話番号が載ってた!
放課後を待ち、ロッカーのファイルでそれを確認してメモを取ってから学校を出る。
城戸くんの家の最寄り駅に隣接してるスーパーでお見舞いの品を買って、地図アプリを見ながら歩き、家の前までは辿り着いた。
けど···
どうしよう···勢いだけでここまで来ちゃったけど、よく考えてみたら関わりが薄いのに、変だと思われちゃうかも。