第37章 桜満開の心 ( 伊吹 梓 )
妹さんって、確か10歳離れてるとか言ってた···ってことはいまはまだ単純計算で6歳?だよね??
何とか帰ってるみたいって事は、小学1年生?!
『城戸くん!もし迷惑じゃなかったら、私も一緒に行ってもいいかな?!』
桜「伊吹さんが?」
『そう!妹さんって事は女の子だし、もしかしたら私にも何か手伝える事があるかも知れないし。もし、大丈夫だったら、だけど···』
知り合って間もない人間が、信頼されるとは思ってはない。
けど、こういう時って人手がある方が何かと便利な時もあるから。
桜「ありがとう、助かるよ」
城戸くんからの言葉で、同時に駅までの道を走り出す。
改札口を駆け抜け、ホームに来た電車に駆け込み···やがて見知らぬ駅で降りた。
駅からは城戸くんの案内でタクシーに乗り込み、10分ほどで城戸くんの家の前に着いた。
タクシーから先に降りて、何気なく城戸くんの家を眺める。
自分の家とは比べ物にならないくらいの立派な家に、なんとなく気が引けてしまったのは、きっと気の所為でもなんでもなく。
桜「どうぞ、伊吹さん」
お洒落な門を開けながら城戸くんが私を招き入れ、玄関の前まで来ると、同時にその扉が開かれた。
桜「慧太、帰ってたのか」
慧「いま少し前にな。紡はいまベッドに寝かせた···ちょっと熱が高いみたいでよ···って、そっちは?」
ドアから顔を出した人物が私を見てから城戸くんを見る。
あれ?
なんか、いま···違和感が?
桜「彼女は俺と同じ学校の伊吹さん。紡の事で何か手伝える事があればって、一緒に来てくれたんだよ」
慧「なるほどね。んじゃ、宜しく···えっと、伊吹さん?」
『あ、初めまして、伊吹です。お役に立てれば···』
簡単ながらも挨拶をして、軽く差し出された手に自分の手を重ねようと顔を見れば。
『城戸くん?!』
「「 なに? 」」
···え?
ええっ?!
目の前に立つ姿は、隣にいる城戸くんそのもので。
いや、よくよく見れば雰囲気とか少し違うんだけど、でも、同じ···顔?!
桜「そうだった、まだ紡の事しか言ってなかったっけ。こっちは慧太、俺の双子の弟だよ。一卵性だから、そっくりだろ?」
『双子···』
神様···世の中にはこんなに顔立ちのいい双子がいたんですね!!
···とかおバカな事を言ってる場合じゃない。