第37章 桜満開の心 ( 伊吹 梓 )
彼とは、3日と開ける事なく再会する事になった。
クラス委員なんて、面倒なだけだと思いながらも内申点アップの為に引き受けたからにはしっかりと務めよう。
そう思いながら会議室のドアを開けると。
「あれ?また会ったね、ネコちゃんとピンクのキミ」
『あっ、あの時の!···っていうか、ピンクのって言うのは忘れてよ···えっと?』
桜「あぁ、そう言えばお互い名前も言わずに校舎に駆け込んだんだったね。俺は、城戸桜太···普通科A組ね。あとバレー部にも入ってる」
普通科A組?!
超エリート進学クラスじゃない?!
卒業生には、医者とか弁護士とか外交官とかいるって話だよね?!
英語のみの授業だってあるはずだけど?!
しかも部活動もやってるとか、どんだけ凄いの?!
いったいどんな脳細胞の持ち主なんだろう。
それとも逆に···超絶変わり者なの?!
どっち?!
桜「キミは?」
『あ···ごめんなさい、私は伊吹 梓···です。クラスはF、だけど』
桜「F?じゃあ、芸術科なんだ?」
『まぁ···それより、普通科Aクラスなのにバレー部って大変なんじゃ?』
桜「そうでもないけど?座学は座学。だけどそればっかりじゃ頭でっかちになっちゃうから、部活は運動不足解消の為、かな?」
『そう、なんだ?』
なるほど、運動不足解消ねぇ···いやいやいや!
だって部活だよ?!
遠征とか大会とかあるのに進学クラスの人がバレー部?!
やっぱり、変わり者なのかも知れない。
その後は委員会が始まって席も離れた場所だったし特に話す事もなかったけど···終わってから、まさか声を掛けられてしまうとは誰が予想していただろうか。
それも、今度バレー部の練習見に来ない?とか。
新手のナンパ?!とも思ったけど、まぁ、ちょっと見に行く位ならいいかな?なんて私も思ったから、じゃあ時間がある時になら、と軽い気持ちで返事をして別れた。
城戸···桜太くん。
やっぱり少し、変わってる人かも知れないと思いながら自分のクラスへと向かう。
あ···クラスも名前も分かったんだし、この前お世話になったお礼をしよう。
そう思い付いて、帰り道に買い物をしなきゃ···と荷物を纏めた。
でもお礼って言っても···何を渡せばいいんだろ。
そんな疑問さえ心の中に溶き混ぜながら、賑やかな昇降口を出た。