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【 ハイキュー!!】~空の色~

第35章 ファインダー越しの恋 ( 澤村 大地 )


菅「お待たせ~!さ、帰るべ?」

菅原君を先頭に、澤村君達もぞろぞろと集まって来る。

みんなの足音を耳にしながら、私はひとり端に寄ってカメラチェックをしていた。

この中には、私だけが知ってる澤村君がたくさんいる。

そんな一枚ずつを見つめながら、ブレてしまったものや、光の加減がおかしくなってしまった物を削除して行った。

武「せっかく写したのに、消してしまうのは勿体ない気がしますね」

ひょこっと画像を覗いてきた武田先生が、興味津々といった感じで呟く。

『いいんです、これで。被写体のブレや光線の失敗は、私の心の乱れ···ですから』

そう言いながらも、私の指が···澤村君の逆光になってしまった写真を消すのを躊躇ってしまう。

武「それでもいいんじゃないでしょうか」

『先生···?』

先生が躊躇っているままの私の指をそっと掴み、削除ボタンから遠ざける。

武「人は誰しも、誰かを好きになる。それが一瞬だけの恋なのか、それとも···永遠を誓う気持ちになるかは誰にも分からないんです。あなたのその乱れてしまう気持ちも、澤村君に伝わるかどうかはあなた次第なのでは?」

『先生知って···』

ハッと口を噤んでも、先生はニコニコとするばかりで。

武「僕は昔ある人に言われたんです。一緒にいて楽しいと思う人よりも、離れていて寂しいと思われる人になりなさい、と。澤村君がどんな状況で誰を選ぶのかは僕にも吉岡さんにも分かりません。ですが、彼にとって、あなたの存在が少しでも離れていると寂しいと思える人に···なれるといいと思いませんか?」

『でも、私は···』

澤村君が既に誰を選んでいるのか、気付いてしまっているから···言えない。

武「ちゃんと言葉にして伝えなければ、届かない気持ちはあると思いますよ?特に···澤村君は僕と同じでそういった事に疎いようですから」

『言葉に···』

私はまだ、澤村君に何も伝えてはいない。

けど、伝えてしまうのも怖い。

答えが···分かっているから···

清「吉岡さん。澤村が送っていくから、なにかされそうになったら大声出してね?」

『澤村君が?!どうして急に?!』

不意に現れた清水さんが、驚くような言葉を私に投げる。

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