第35章 ファインダー越しの恋 ( 澤村 大地 )
その場を逃れる為に言った私の言葉に、彼女は目を輝かせた。
紡「じゃあ!今日の放課後に体育館に見学に来て下さい!そしたらきっと、なんかこう···インスピレーション?とか言うのがグワッと浮かぶかも知れませんから!」
澤「グワッとって、影山かお前は」
紡「なんか、つい」
笑い合うふたりを見て、また···チクリと痛む。
このふたりの隙間になんて、滑り込めたりしないよ。
お似合い、だもん。
澤「ま、ホントに気が向いたらでいいからさ、また体育館に顔だしてよ?来てくれると喜ぶヤツらもいるから」
紡「あはは!それって田中先輩とか西谷先輩ですね?」
田中に、西谷···あぁ、あのふたりか···
前に体育館行った時も、なんかよく分かんないけどいろいろ聞かれたりしたっけ。
それ以外は清水さんにまとわりついてて、怒られても···喜んでたような?
なんか、変な人達だった。
西「おっ!紡に大地さん···こんな所でなにやってんスか?」
澤「···噂をすれば、だな?」
「ですね」
ふたりの視線に促されるように私も振り返る。
西「あっ!吉岡さんまで!はよっス!!」
『あ···おはよう、西谷君。いつも元気だね···』
西「ッス!」
紡「西谷先輩、またアイス食べてる」
西「おぅよ!売店で見つけたんだ、カラフルラムネ入りのいちごかき氷バー!···あ、紡もひとくち食うか?」
えっ?!
大胆な西谷君の行動に驚いていると、彼女の行動に更に驚かされる。
紡「じゃあ、せっかくだからいただきまーす!···んっ、冷たいけど···おいひい!」
西谷君の食べかけなのに···た、食べた?!
西「だろ?いちごのとこがスゲー甘いけど、ラムネが酸っぱいからイイ感じだよな!っと、予鈴だ!行くぞ紡!」
グイッと城戸さんの手を引いて、西谷君はそのまま階段を駆けて行った。
澤「あのふたりは嵐のようなヤツだな、まったく···さ、予鈴も鳴ったし、俺達も行こうか?」
『行こうかって、クラス違うのに?』
クスリと笑って言えば、同じ階なんだから澤村君も笑って返す。
澤「さっきの紡の話だけど、もしヒマがあったら体育館来てみなよ。今日の放課後は、紅白戦をするよていだからさ?···きっと前とは違うバレー部の顔が見れると思うから」
そう言って階段を上がり出す澤村君に曖昧な笑みを返した。