第3章 小さな手のひらに大きな愛を (西谷 夕 ・特別番外編)
昼休み、紡の顔見に教室行ったら
・・・アイツはいなかった。
寝てる影山を無理やり叩き起して紡がどこにいるのか聞いたら、自分は眠いから弁当さっさと食って寝たから、知らねぇとかいうし。
同じクラスのヤツらが城戸なら隣のクラスの山口が誘いに来て弁当持って一緒に出て行ったって教えてくれてから、ひょっこり覗いて驚かせようと思ったのに・・・
3人で机並べて仲良く楽しそうに話をしてるのをみたら、声を掛けることが出来なかった。
アイツ、あんな風に笑って話すんだなとか。
それに、月島や山口と弁当食べさせあったりとか。
そこには、オレの知らない紡がいて・・・
オレ、ほんとに彼氏なんだよな?
安心してて、いいんだよな?
それとも、オレがしつこくしてたから・・・仕方なく付き合ってくれてんのか?
そんなことを考えたら、なんだか胸がチクリとして黙って自分の教室に戻った。
・・・で。
モヤモヤしたまま、放課後になっちまったワケだけど。
オレのモヤモヤは、まだ現在進行形で。
「はぁ・・・」
ため息さえ、何か冴えない・・・
田「なんだァ?ノヤがため息とか珍しいな」
「別にオレがため息ついたっていいだろうが」
田「ぬぬぬっ?もしかして、お嬢とケンカでもしたのか?」
ニヤニヤしながら龍がオレを見る。
「ケンカ・・・ねぇ・・・それが出来るくらいなら・・・」
こんなにモヤモヤしないのによ。
「だぁぁぁぁぁぁぁもう!!!しっかりしろ!オレ!!」
両手で頬を叩き、気合を入れる。
清「西谷、うるさい。なんの騒ぎ?」
大地さん達と同時に、麗しの潔子さんが体育館に入ってくる。
澤「西谷、外まで聞こえてたぞ。お前の雄叫びが」
菅「あんま騒ぎすぎると、また教頭に目ぇ付けられるだろ?」
「すんません・・・ってか!潔子さん!!放課後もお美しい・・・」
こんな風にモヤモヤしてるオレの心を晴れやかにしてくれるのは潔子さんだけだ!
旭「西谷、俺が言うのも変だけどさ?お前には城戸さんがいるんだから、いい加減に清水から卒業したらどうだ?」
田「そうだぞノヤ!・・・お前の1番はお嬢だろ!」
オレの・・・1番?
「なんで、紡が1番じゃなきゃダメなんだ?」
だって紡は・・・