第3章 小さな手のひらに大きな愛を (西谷 夕 ・特別番外編)
それに気づいて、西谷先輩の怒涛の交際申し込みを受けた。
その日から毎日、門と体育館迄の間は2人で一緒に歩こう!って言われて嬉しかったんだけど・・・
やっぱり、清水先輩には敵わないなぁ。
女の私でさえ、心惹かれる人だから。
『私も、自分から繋げないからダメだと思うんです・・・言い難いっていうか』
旭「それはどうして?」
『上手く・・・言えないんですけど。手を繋きたいって、言おうとすると凄くドキドキして言えないというか。そんな事を言って嫌われたらどうしよう、とか』
旭「う~ん・・・」
『今日こそは、今日こそは!って思いながら、また、その今日が来る・・・みたいな?』
あ、あれ?
なんで先輩達にこんなこと話しちゃってんだろう。
チラリと3人の顔を見ると、それぞれが口元を押さえて・・・
『もう!先輩達みんなしてニヤつくのやめて下さい!・・・先に行ってます!』
超絶恥ずかし過ぎる!!
クルリと背を向け、足早に歩き出す。
菅「あっ、紡ちゃん待ってよ!オレも一緒に行くよ!」
『知りません!』
菅「機嫌直せってば。ほら、急ぐよ!」
菅原先輩が私の手を引いて走り出した。
『菅原先輩!急に走ったら危ないですよ!!』
旭「大地?スガとは・・・平気みたいに見えるのは俺だけ?」
澤「いーや、俺もだ。ま、スガにはそう言うドキドキがないって事なんだろ。スガも城戸さんに対して一方通行っていう事だな?それより、俺達も急ごう!」
旭「お、おぅ!」
走って行く私達の後ろで澤村先輩と旭先輩が何か話していたけど、何を話していたのから聞こえるはずもなく。
私は体育館に着くまで、菅原先輩にずっと手を引かれながら走り続けていた。