第3章 小さな手のひらに大きな愛を (西谷 夕 ・特別番外編)
~紡 side~
西「待って下さい潔子さん!オレもお供します!!!紡、体育館でな!」
そう言いながら、西谷先輩は清水先輩の後を追いかけて行ってしまった。
清水先輩は男子バレー部の美人マネージャーで、特に西谷先輩と田中先輩が普段からあんな感じなのは・・・頭では分かってるんだけど・・・
でも、目の当たりにすると・・・やっぱり寂しいと感じる自分もいて。
澤「そんな顔すんなって。西谷のアレは、まぁ、病気みたいなもんだから、さ?」
菅「そうそう!紡ちゃんが来る前なんて、もっと酷かったんだぞ?田中と2人で。なぁ、旭?」
旭「そうだなぁ・・・清水が上手く交わしてたけど・・・でも、付き合ってるって立場からしたら、複雑だよなぁ」
澤・菅「「旭!!」」
旭「えっ?!・・・あ、えっと、何かゴメン・・・」
・・・旭先輩の言うことは、半分当たってるんだよね。
そう思いながら、小さくてため息を漏らす。
菅「紡ちゃん、大丈夫?」
ひょこっと覗き、菅原先輩が声をかけてくれる。
『何か朝っぱらからゴメンなさい。大丈夫です、私・・・清水先輩には敵わないって分かってますから』
菅「いや、そんな事はないと思うけど?」
『そんな事あるんですって。だって西谷先輩は・・・その・・・手、も・・・繋いで貰えてない・・・と、いうか』
そこまで言って、その場の空気が変わるのがわかり、口籠もってしまう。
澤・菅「「・・・えぇーっ?!」」
旭「城戸さん、それホント?!」
あまりの声の大きさと、あまりの食いつきの凄さに後ずさりしながら、私は首を縦に何度も振った。
澤「西谷と付き合い出してどれ位だ?!」
『に、2週間・・・ちょっと、位ですか、ね・・・っていうか、澤村先輩距離近いです・・・』
菅「だって西谷だよ?!あんなに紡ちゃんに猛烈アピールしまくってた西谷だよ?!」
そう、あの毎日の猛烈アピールに負けたんだよね、私。
学校にいる間は朝も昼も帰りも・・・
絶対に大事にする!だから頼む!オレとつきあってくれ!!
・・・って、言われ続け。
最後の方は、お昼休みになると西谷先輩がバタバタとかけて来るのを待ってる自分に気がついて・・・
そっか、私・・・西谷先輩の事、好きなんだ。