第3章 小さな手のひらに大きな愛を (西谷 夕 ・特別番外編)
旭「西谷、そんな心配はいらないよ。確かに城戸さんは可愛いけどね」
『えっ?!あ、あり・・・が、とうございます』
いーや、オレは心配だ!
澤「ひげちょこ、それから西谷も、何してんだ?」
菅「はよーッス!紡ちゃん、今日も可愛いいねぇ。はい、おはようのギューッ!」
『あ、ちょっと菅原先輩?!』
ぐぁーーーーーっ!!
オレとした事がっ、油断した!!
「スガさん!紡にセクハラやめて下さい!!」
すぐさまスガさんから紡を取り返し、後ろに隠す。
「ホントにみんなで寄ってたかって!紡はオレの彼女!なんですからね!」
そうだ、オレの彼女なんだ!
部活停止から復帰したら、紡がマネとして入部してて。
まぁ、その・・・アレだ。
オレの、一目惚れ・・・ってやつで。
そんでもって色々と話してるうちに、衝撃の事実を知る・・・
紡はオレが最初に一目惚れした北川第一女子バレー部の・・・セッターだとわかり。
更に元リベロだとわかり。
毎日毎日毎日毎日、猛烈アピールしまくって・・・彼女になった!
だから紡はオレの宝物で、絶対誰にも渡さない!
元カレってのが青城にいるのをチラッと耳にしたが、そんなのは気にしない。
元カレは元カレで・・・オレはオレだ!!
でも、ひとつだけ、どうしたらいいのか分かんねぇ事があって。
手・・・どうやって繋げばいいんだ?
付き合い始めてだいぶ経つが、いまだに手を繋ぐ事さえ出来てない・・・
今日こそは、今日こそは!・・・って思いながらも、今日に至る。
・・・ん?
この輝かしい気配は・・・
清「おはよう。みんなでなに?朝練、サボるつもり?」
「潔子さん!!!おはようございます!潔子さん!!あぁ~・・・今日も朝からお美しい・・・」
清「西谷、うるさい」
「きっ、潔子さんから、うるさい頂きましたぁ!」
清「澤村、先行く」
「待って下さい潔子さん!オレもお供します!!!紡、体育館でな!」
『あ・・・はい・・・西谷先輩また後で・・・』
なんて事のない、いつもと同じ朝。
女神の様な潔子さんの後を追いながら、オレは全く気付かなかった。
・・・紡が、寂しそうな顔を・・・していたなんて・・・