第27章 チョコレート・パニック ( 黒尾鉄朗 )
何言ってんだコイツ···みたいな空気になったら、なぁんてな?とか言って笑ってごまかせばオッケ?みたいな?
い~や、待て。
それはダメだろ。
そんなの···オレだけ大ケガじゃないか。
さて、どうしたものか。
あれから数日。
暇さえありゃどうやって本命チョコなるモノを貰おうかと、そればかりが頭を占めていた。
だが···そんなある日、部活前に着替えていると。
リ「夜久さん!ちょっと聞いて下さいよ!」
半泣き状態で騒ぐリエーフが飛び込んで来た。
夜「リエーフ!てめぇドア閉めろ!寒いだろ!!」
上半身裸状態の夜久が、リエーフに軽く怒号を飛ばす。
リ「夜久さん!寒いとか言ってる場合じゃないっすよ!とにかくヤバいニュースがあるんです!」
大抵リエーフがそういう時は、別に大したことでもない紡絡みの内容が多い。
それを知ってか、部室にいるメンバーも特に耳を貸さずに黙々と着替えをしていた。
「ま、とりあえず聞いとくか。んで、ヤバいニュースってのは?」
リ「つーちゃん先輩が···」
「紡が?」
ほらな、やっぱり紡絡みだ。
リ「···今年のバレンタインは、本命チョコしか作らない、って」
「へぇ~、そりゃ···え?本命?!」
軽く聞き流すつもりが、まさかの事態に驚いてしまう。
「···本命、ねぇ」
そしてそのひと言が、周りにいるヤツらを軽くパニックに陥れた。
夜「本命···いたのか···」
そんなモン、オレが知りたいっての···
研「···出来た、とか?」
やめろ研磨。
リ「オレのつーちゃん先輩がぁっ!!」
···。
「リエーフ!お前とりあえず黙れ!···まぁ、アレだ。紡がどこの馬の骨に惚れたのかは、この際どうでもいい」
夜「そうは言ってもクロ、お前だって動揺してるじゃん···靴下片方、裏返しだぞ」
夜久に言われて自分の足元を見れば···ヤベッ!
オレいま超ダセェ!
「コホン···とにかく、だ。アイツが本命1本に絞るってんなら···?」
「「 なら? 」」
わざとらしく一同を見て、オレは含み笑いを浮かべる。
「紡の想い人が誰なのか、確かめてやろうじゃねぇか!」
「「 おぉっー!! 」」