第3章 小さな手のひらに大きな愛を (西谷 夕 ・特別番外編)
いつもと同じ朝!
いつもと同じ時間!
制服のポケットからスマホで時間を見て、よし!と頷く
何も起こっていなければ・・・もうすぐ、来る!
学校の門に軽く寄りかかり、オレはアイツが来るのを待ってる。
ここから体育館までの短い距離が、オレと紡が唯一、一緒に歩ける時間だからな。
家も反対方向だし、行き帰りは同じ方向の影山がいつも一緒だ。
・・・そこは、何となく、チョット妬けるけど。
でも、影山がいるだけで紡の身の安全が保証されんなら、結果オーライ!だしな!
オレは体は小さくても、心はドーンと大きい男でいたいから。
・・・そろそろ、かな?
目を凝らし、紡の通学路をジッと見る。
少し離れた所に、明らかに紡と影山だと分かるふたつの人影を見つけ口元が緩む。
「オーイ!!紡!あと影山!」
思い切り叫ぶとふたつの影は1度足を止め、すぐに走って来た。
『西谷先輩、おはようございます!』
影「はよッス!」
「おう!2人ともおはよう!・・・影山、今日もありがとな!」
影「はぃ?・・・あぁ、別に家が近いだけッスから」
うんうん!それでも、だ!
日「ノヤっさ~ん!はよッス!グッ・・・影山・・・ノヤっさん、オレ先に行きます!」
チャリ通の日向が全速力でオレ達の横を通過して行く。
影「日向テメェ待ちやがれ!!西谷さん、俺も先行ってます!」
日向の後を追いかけ、影山も全力ダッシュで走って行く。
『日向君、自転車だから追いつかないと思うんだけどな・・・ね?西谷先輩?』
クスクス笑いながら紡がオレを軽く見上げる。
いい・・・!
この絶妙なバランスと角度!
そして毎日の紡の可愛さ!
クぅぅぅぅ・・・ヤベェ!
可愛い過ぎるのは・・・反則だろっ紡!!
旭「おはよう・・・こんな所でいつまでも何してんだ西谷?」
『東峰先輩、おはようございます!』
旭「あはは・・・城戸さんはいつも元気だなぁ」
旭さんがそう言いながら紡の頭をポンポンとする。
紡は紡で慣れっこなのか、旭さんにニコニコと笑顔を向けている。
「旭さんっ!いくら紡が可愛いからって、旭さんでも・・・オレ、譲りませんからっ!」