第2章 子羊とたくさんのオオカミ?!(縁下 力)
ちょい待って?
もしかして、いま俺の心の声漏れてた?!
「え?!じ、自分で食べれるから」
そう言って見るも、城戸さんは絶えずニコニコとしながらチョコを摘んだまま俺を見上げている。
・・・参ったな。
そんな可愛らしい顔で見つめられたら、俺はもう白旗を振るしかないじゃないか。
少しずつ熱くなる顔を悟られないようにしながら、城戸さんの手から直接口に入れる。
「あ、甘い・・・ね?」
本当は、味なんて分からないくらいだけど、感想を聞きたいのかずっと俺を見ている城戸さんにそう言った。
『チョコですから!』
満足気にそう言って、城戸さんは更にチョコの小袋を取り出すと、周りを見回し今度は月島の方へと駆け出して行った。
『月島君!チョコあげる!』
月「・・・いや、僕は」
『みんなにもあげたし、遠慮しなくていいよ?』
そっか。
俺は他のギャラリーと同じ立ち位置なんだよな。
いや、でも。
これから先なんて、まだ、分からないじゃないか。
そう思いながら月島がまた怒り出さないかとハラハラしながら様子を見ていると、月島は何も躊躇うことなく城戸さんの手から食べた。
・・・何で月島はそんなに冷静なんだ?!
そんな月島と城戸さんを見た日向が騒ぎ出し、結果、全員に同じように食べさせ歩く。
バレー部員の、たまたまその場にいた1人の先輩・・・か。
口の中に残る甘さと、心に染みてくるほろ苦さを堪能していると、チクチクとした視線を感じて振り返る。
「何だよ・・・木下か」
木「何だよ、じゃねぇよ縁下。お前ホントに羨ましいな!」
鬱陶しい位にニヤつきながら、木下がそんな事を言う。
「だから、何がだよ?」
呆れながら言い返すと、木下が更にニヤつく。
木「縁下・・・顔が赤いの、自覚ないのか?」
なっ・・・?!
木下に言われ、慌てて顔を逸らす。
「バッ、バカなこと言ってんなよ!」
急上昇する顔の熱さを自覚して、暑い暑いと言いながらタオルで扇ぎ続けた。
山「縁下さん?そんなにいま暑くないですよ?大丈夫ですか?」
天然発言をする山口を木下と成田が大ウケしながらゲラゲラと笑う。
木「ヤ、ヤベェ!山口・・・腹痛くなるからヤメロ!」
成「オレも・・・」
山「えっ?!大丈夫ですか?」