第2章 子羊とたくさんのオオカミ?!(縁下 力)
山「だって、初めて校庭の端で見た時もそうだったけど、いつも一緒にいるし。・・・そんな風に仲良いから」
『だって影山だよ?ナイナイ!』
影「そーだ!俺にだって選ぶ権利はある!」
『失礼ねぇ!私にだって選ぶ権利はあります!』
影「はぁ~?どうだか?」
山「ちょっ、2人とも・・・」
影山と城戸さんが向き合って言い合いをしていて、山口はどうしたらいいか分からずオロオロしていた。
・・・全く、しょうがないな。
「ちょっと止めに入ってくる」
木「え?あ、おい縁下?!」
向かいながらスクイズをステージに放り、言い合っている2人の元へ歩み寄る。
「2人とも落ち着いて!影山もすぐケンカ売るのやめろって」
声をかけた時、影山は城戸さんを掴む勢いだった。
オイオイ影山、相手は小さな女の子だぞ・・・
影「いや、城戸が!」
『違います!影山が先に!』
すんでの所で城戸さんは影山の手から逃れ、それ以上は攻撃されないように俺の背中に身を隠した。
影「お前スグそうやって誰かの後ろに隠れる!!」
それでも捕まえようと腕を伸ばす影山から片手で城戸さんを抱き寄せるように庇い、もう片方の腕で影山との距離を保つ。
「だぁぁぁ!もうやめろって!影山が城戸さんの事が大好きで構いたいのは分かったから、今はやめろ。はい、この話はもうお終い!」
影「違っ!」
「お終いって、言ったよね?」
反論する隙を与えないように俺は静かに微笑んで見せた。
影「ぐっ・・・はい、スミマセンデシタ」
おとなしくなる影山に、ベーッと舌を見せる城戸さんを、コラ!と軽くオデコを突っつき、山口へと体を向けた。
「山口も、その場にいたなら止めろって」
山「あ、はい、すみません・・・何か勢いに負けちゃって」
別に怒りながら言った訳じゃないのに、なぜか山口まで影山の様に青くなりながら謝ってくる。
『ごめんね山口君。お詫びにチョコもう1個あげる。はい、アーンして?』
アーンして?・・・って?!
山口も軽く目を泳がせて一瞬躊躇いながらも、城戸さんから差し出されたチョコを食べた。
山口・・・お前のそういう所、なんか得な感じで羨まし・・・
『縁下先輩もどうぞ?はい、アーン』
くるりと振り向き、城戸さんが俺を見る。