第19章 たとえばそれは、春風のように ( 澤村大地 生誕 )
菅「あ、それからさ、」
旭「スガ、取り敢えず前に進んでくれよ?後ろがつかえてるんだから」
菅「ゴメンゴメン、大地が変な事してたから見入っちゃってさ」
···旭も一緒だったのか。
二人同時に現れたことで、さっきのモヤモヤ思考が蘇る。
そうだ、いっそ笑われてもいいからスガと旭に相談してみるか?
ひょっとしたら···何か知ってるかもしれないしな。
「あの、さ?ちょっと相談したい事が、」
『大地が変なことしてたって、何してたの大地?』
「えぇっ?!な、なんで紡がいるんだ?!」
『なんでって、言われても···さっき大地に電話したのに』
いや、それはそうなんだけどさ。
よりにもよって、スガと旭と一緒に来るとは思ってなかったから。
もしかして、だけど。
どっちかと付き合うことになったから、今後について話し合いがしたくて連れてきた?とか?
どっちかが付き添い、とか?
それで、どっちかが俺を説得しに?···とか?
どっちかがって、あぁもう意味わかんないよ!
旭「とりあえず城戸さん、これどうしたらいいかな?」
『あ、そうだよね!クリーム溶けちゃうから早くみんなで食べよ!』
クリーム?
食べよう?
慣れた手付きでスガがミニテーブルを引っ張り出し、旭がその上に箱を乗せた。
「えっ···と、なに?」
菅「なに寝惚けてんだよ。今日は大地の誕生日だろ?」
俺の···?
「あっ!そう言えば!」
いろいろありすぎて、それも忘れてた···
『頑張って焼いたんだから、感謝してね?大地。ほら!』
ジャーン!と盛大に言いながら紡が箱のフタを持ち上げる。
〖 Happy Birthday 大地 〗
可愛くデコレーションされたケーキの上のプレート。
ヤバい···なんか俺、泣きそう。
「別れ話とかじゃなくて良かった···」
つい、言わなくていい言葉が零れる。
菅「別れ話?」
旭「大地、城戸さんと別れるのか?」
『え···?ウソでしょ?』
「ち、違う!別れない!誰が何と言っても!」
思わず前のめりになって叫ぶ。
菅「ハイハイ、ごちそうさま。って事で、早く食うべ!」
あ、おい?
ちょっと?!
「俺のケーキ···」
『自分の誕生日、忘れてたくせに』
アハハ···すみません。