第2章 子羊とたくさんのオオカミ?!(縁下 力)
こんなに焦ってるんだ?
山口だって月島だって、城戸さんと同じ1年なんだからいいじゃないか。
同じ1年同士、仲良くしてる方が・・・
まぁ・・・月島は昨日あんな風に城戸さんと揉めてたし?
体育館を出て行った2人を、武田先生と大地さんが追いかけて行って。
そうかと思えば。
大地さんと武田先生だけが先に戻って来て。
先生は呑気に、後は若い2人に任せましょうとか笑っていて。
お見合いかよっ!って心の中でツッコミを入れた。
2人が戻ったら戻ったで、あんなだったし。
月島が手を引いてズンズンと体育館入って来たり。
そう言えばマネージャーの手伝いを・・・って紹介されてた時も、大地さんが手を繋いでた、よな?
城戸さん、手を繋がれるの好きとか?
それとも、思わず手を繋いでしまいたい気持ちになってしまう、とか?
・・・俺も、繋いでみるか?
いやいやいや、何の用事もないのにそんな事したら怪しいヤツだと思われるだろ。
タダでさえスガさんは城戸さんにスキンシップ多くて、清水先輩にセクハラ大王と呼ばれているのに。
『わかった、ちょっと待ってて?』
城戸さんの声に、モヤモヤ思考が止まる。
いつの間にか月島と影山が入れ替わってる。
パタパタと足音をさせながら城戸さんが自分の手荷物の所に戻って来たけど・・・
『あ、あれ?何でそんな方まで・・・ん~・・・届かない!えいっ!』
ステージの上に置いた荷物が移動していて届かないらしく、ぴょんぴょんと跳ねてはあと少しのところで届いていない。
ああいうの、ホント可愛いなぁ。
俺は足早に近付き、城戸さんの隣に立った。
「取ってあげるよ?・・・はい、この鞄でいいかな?」
『縁下先輩?!ありがとうございます・・・もぅ、本当にちっちゃいのって損ですよね・・・こんな高さも届かないとか』
俺からしたらなんて事ない高さの事を、凄い高い場所の様に言うのが、更に可愛さを増していく。
「急いでたみたいだけど、影山がどうかしたの?」
『どうかっていうか、急に甘い物ないか?って聞かれて。確かあったかな?って』
甘い物?
影山・・・アイツ変わってんな。
練習の合間に甘い物が欲しいとか。
・・・吐くなよ?
「そっか。ケガとかじゃなきゃいいんだ」