第2章 子羊とたくさんのオオカミ?!(縁下 力)
城戸さんは山口の手の様子を見ながら、時折、身振り手振りをして微笑んでいる。
山口は山口で、赤くなったりオドオドしたり。
・・・そういう事か。
山口はきっと、城戸さんの事が。
なるほどねぇ、青春だねぇ。
でも。
何でそれを見た俺は・・・チクリと痛むんだ?
何気なく、自分の胸に手を当てる。
ははっ・・・まさかね・・・
・・・そんな訳、ないだろ。
だって、ついこの間じゃないか。
初めて城戸さんに会ったのは、暴走1年組の3対3の試合を見に来た時だそ?
いやいやいやいや・・・
ない・・・だろ?
木「おおっ?!見ろよ縁下、山口が強行作戦に出た!」
は?
なにそれ?
木下に言われて山口の方を見ると、城戸さんの手を繋いで・・・繋いで?!
木「おーおー、若いっていいねぇ」
若いって・・・俺達と1コしか変わんないっつうの。
呑気に言う木下に一瞥を送り、また城戸さんの方を見る。
『あっ!可愛い!・・・凄い可愛い!山口君こんな可愛いの、ホントに貰ってもいいの?』
「うん、受け取ってくれると嬉しい」
山口から何かを受け取った城戸さんが、それをギュッと抱きしめながら声を上げていた。
成「微笑ましいよなぁ、あの2人。山口は1年の中でおとなしいし、何よりあの子ってかわいいじゃん?見た目も中身もさ?あの2人、くっついちゃえばいいのに」
えっ?!
木「そりゃダメじゃね?だって、影山と・・・なんじゃねぇの?」
成「そうなの?」
木「いや、分かんねぇケド。だって登下校も一緒だし、学校にいる間もいつも一緒だし。それってそういう事なんじゃね?」
「それは違うよ。城戸さんと影山は同中出身で家も近いからだって言ってた。クラスも同じだし、だから一緒にいる事が多いだけだって言ってたし」
木下と成田が2人揃って俺を見ながら、ふ~ん?と相槌を打った。
「・・・なに?」
木「いや?縁下って何気にいろいろ知ってんよなぁ?って思っただけ。な?成田?」
話を振られた成田は、軽く笑って頷いていた。
「いや、俺はたまたま城戸さんと話をした時にだな、」
成「それより、その話題のあの子のところに月島が歩いて行くけど?」
月島?!思わぬ伏兵登場に瞬きを繰り返す。
・・・どうして俺は。