第17章 悪夢は何度でもやって来る ( 烏養 繋心 )
「···なんだよ」
嶋「べっつにぃ?繋心なら受けるんじゃないかなってオレは思ってたけど?」
「なぜそう思う?」
オレはだいたい、指導者なんて向いてねぇよと加えて言えば、嶋田は笑い出した。
嶋「だってお前、バレーボールしかねぇじゃん?」
「グッ···し、失礼極まりねぇな!」
嶋「いいんじゃないの?コーチとか。その話がオレに来たものだったら、ひとつ返事で受けるけどなぁ」
「お前でいいんなら、差し出すよ」
嶋「お?いいのか?···そっかそっか、コーチになれば毎日のようにお年頃の女子高生のいる学校へ無条件で出入り出来るからなぁ···ウンウン···」
嶋田···その発言は何かヤバい。
頼むから警察沙汰とかだけは、やめてくれよ?
嶋「そういやアレだな。うちの店にたまーに買い物に来る女子高生も、烏野の制服着てた気がするな」
「おい···どんだけだよ」
呆れ顔をモロに出しながら、肉まんをまたかじる。
嶋「···結構カワイコちゃんだぞ?」
カワイコちゃん?!
「マジか?!」
嶋「こう···なんつーか、小柄で、髪の毛とかふわふわしてて···男だったら見返りなしの無条件で守ってやりたくなるような?」
女子高生···いいな···
ばっ、違うだろ!!
「嶋田よく考えろ。女子高生ってことはよ、オレらより10コ位の年の差だぞ?!···犯罪だろうが!」
嶋「別に犯罪者になるつもりはないって。ただアレよ?ちょーっとお茶して、ちょーっとお散歩して、くらいの楽しみだったらいいじゃん?もちろんデート代はオレが持つんだし?」
嶋田よ···
それは世間一般では援助交際と呼ぶ事を知ってるか?
「とにかく、友人の一人が犯罪者とか真っ平御免だからな!」
嶋「へいへい」
「それから、コーチの話だけどな。受けるつもりはないからな···あんな夢見たばっかだしよ」
嶋「夢?お前が?」
あぁ···と生返事を返し、昨夜見た夢の内容を教えてやる。
嶋「う、わぁ···寄りにもよって、ブラックツインズの夢とか···ないわぁ···」
「だろ!」
嶋田でさえ、時にはブラックツインズの被害者だったからな。
嶋「懐かしいなぁ、あのイタズラ。居眠りしてるオレの眼鏡にマジックで落書きとかされたもんなぁ」
「懐かしむな!」
オレはアイツらを思い出すだけで鳥肌立つわ!