第17章 悪夢は何度でもやって来る ( 烏養 繋心 )
慧「繋心どけっつーの。通れねぇだろ···じゃねぇと···」
ヒヤリと嫌な予感がして···咄嗟にズボンを押さえるも!
ー キャーー!!烏養君の変態!! ー
「やりやがったな慧太!!」
慧「いつまでも動かねぇ繋心が悪い」
「なんでだよ!!」
桜「烏養、とりあえず···粗末なものをなんとかしたら?」
オレのマドンナちゃんを抱き寄せ、顔を隠してやりながら桜太が笑顔を崩さずオレに言う。
「そ、粗末なものっていうな!前は間に合ってんだろ!!」
慧「じゃ、ハッキリ言ったる。繋心、ケツ丸出しだから早く履け」
「お前のせいだろうが!!」
クソっ!!
ゴソゴソとズボンを上げながら、マドンナちゃんにオレのせいじゃねぇからと言おうと顔をあげりゃ···
なぁぁぁぁぁぁぁっ?!
桜太にこれみよがしに抱き着いて、慰められてる?!
ぐぁぁぁっ!!
オレの···
オレのマドンナちゃんがぁ!!
ハッと目が覚め、見慣れた天井が視界に入る。
···またこの夢かよ。
クソ···ブラックツインズめ。
暫く見てなかった夢だってのに、いったいどういう事だ。
何かのお告げか?
残念ながら、この世に神さんはいねぇんだよ。
もしいたら···オレをあの日のあの時に戻してくれよ。
マドンナちゃん···
わしゃわしゃと髪をかき混ぜながら布団から起き出て窓際へ向かう。
静かに窓を開け、煙草に火を付けた。
最近、アレだな。
烏野のバレー部の顧問だとかいう先生が頻繁に訪ねてくるから、きっとバレー部繋がりであんな夢を。
城戸兄弟···
何かとオレばかり弄りやがって。
オマケに、そんなアニキ達と一緒にいたせいか?
ちびっこい妹までもオレに絡んで来て?
うぜぇ!と跳ね返せば、それはそれでウチのジジィがちびっこに懐かれてたからオレだけ制裁を食らう始末···
つくづく思う、世の中不公平だと。
そんでもって、やっぱり神さんはいねぇ。
そんなもんいたらよ、縋って縋って彼女の一人でも出来てるって話だ。
とびきり美人のナイスバディの···
考えんの、やめよ。
なんか虚しくなって来た。
···はぁ。
煙を吐き出しながら、同時にデカいため息も吐く。
バレー部の、コーチ···ねぇ。
なんたって烏野のオレの母校だ。