第16章 autumn wedding ( 青城3年組 )
ー 次はアナタの番よ?私からのバトンタッチ、受け取ってね? ー
花嫁が柔らかに微笑み、私を見つめる。
幸せのバトンタッチ・・・私も、いつかは···
もう1度ブーケに視線を落としてから、私は花嫁をまっすぐ見た。
『はい!確かにお受け取りしました!・・・絶対、私も誰かにバトンタッチしたいです!』
ー よろしくね、未来の花嫁さん?私みたいに素敵な旦那様を見つけ・・・フフッ、もしかしたら、もう、側にいるのかも知れないわね? ー
花嫁さんが4人を順番に見て、クスリと笑った。
それじゃあね?・・・と言って、花嫁を迎えに来た旦那様と戻って行った。
私が想いを寄せているのは、確かにこの中にいる。
でも、いまは・・・もう少しだけみんなとのわちゃわちゃを楽しみたい。
及「よかったね紡ちゃん?」
岩「手伝いのご褒美だな」
花「枯らすなよ?」
松「そしたらドライフラワーに出来ねぇだろ」
もう・・・みんな勝手なことばっかり・・・
だけど、あの時みんなが声を掛けてくれなかったら、私の手元にブーケは届かなかったかも知れない。
『及川!』
及「おっと?」
『岩!』
岩「どうした?」
『花!』
花「はいは~い?」
『松!』
松「あいよ?」
ひとりずつ呼んで、少しずつギュッと抱きしめる。
『ありがとう、みんな大好き!』
「「 そりゃど~も 」」
岩「じゃ、帰るか」
岩の言葉で頷きあい、みんなで歩き出す。
誰かにポンっと肩を叩かれ、耳元で囁かれる。
ー いつか着せてやるから・・・もうちょい待ってな? ー
『・・・え?!』
いまの声って・・・絶対・・・
驚き顔を上げても、みんな雑談をしながら歩いている。
ホントに・・・待っちゃうよ?
だから、なるべく早く・・・迎えに来てね?
ー おーい!早く来いよ、置いてくぞ~? ー
心の呟きが聞こえたかの様に、あの人が私に手を差し出していた。
『今行くから待って~!』
まだ先の未来に私は駆け出した。
いつかアナタとの・・・autumn weddingを夢見て・・・