第2章 子羊とたくさんのオオカミ?!(縁下 力)
『え?・・・田中先輩?』
俺にしがみついたまま、城戸さんが田中を見てまた驚き、俺の胸に顔をつけた。
『た、田中先輩!所構わず脱ぐのやめて下さい!!』
城戸さんの声に田中を見て、思わず頭を抱き寄せた。
あんな物見せたら大変だ!
木「田中~、お前シャツだけならまだいいけどよ、下も半ケツじゃねぇか・・・」
成「さすがにそれはマズイんじゃない?街中だったら警察呼ばれるぞ?」
木下と成田に言われ、田中が慌てて履いてるものを引き上げた。
田「危ねぇ危ねぇ、オレの分身が顔出す所だったぜ・・・って、縁下そんな目でオレを見ないでくれ・・・」
「呆れてんだよ・・・全く田中は、女の子がいるんだから考えろよな」
田「スンマセン・・・」
「城戸さん?もう大丈夫だから」
そう言って城戸さんを解放すると、城戸さんは小さなため息をつきながら体を離した。
『すみませんでした』
「いいよ、今のは明らかに田中が悪いんだから。さ、休憩時間も限られてるし、山口にもソレ、渡して来なよ?」
『そうでした!あ、田中先輩のは清水先輩が持ってますから受け取りに行って下さい!』
パタパタと走り去っていく後ろ姿を見ながら、さっきまでこの腕の中にいたんだなぁ・・・なんて考えてしまう。
女の子って、あんなにも柔らかい感触なんだな・・・
いや、別に俺に全くそういうのがなかった訳じゃない。
中学の時、1度だけ彼女・・・いたし。
まぁ、色々あってすぐ別れちゃったから何もなかったけど。
だからこそ、今のフワフワな感触に驚いている自分がいる。
木「いいよなぁ縁下。堂々とあの子を抱きしめたりしてさ?羨ましいぜ」
「・・・は?」
田「オイッ縁下!言っておくが・・・お嬢に手を出すのは許さん!!」
暑苦しい顔を近づけ、田中が息巻く。
「田中は城戸さんの父親かよ。それに、何でお前の許可が必要なんだっつうの」
田「よくぞ聞いたくれた!それはだな・・・潔子さんは女神で、お嬢は天使だからだ!!!」
・・・アホくさ。
「はぁ・・・付き合ってられない」
田「なんだと縁下!」
「あ~もぅ、田中うるさい!ウザイ!暑苦しい!」
少しでも風に当たろうと、体育館の出入口へと向かう。
その途中でチラリと城戸さんを振り返った。