第15章 スポーツの秋?それとも恋の秋?!( 黄金川貫至 )
~epilogue~
あの怒涛の体育祭から、早2ヶ月···
今日も朝練より少し早い時間に、オレは学校近くのバス停で、今か今かとバスが来るのを待っている。
もちろんそれは、バス停から学校までの道のりをふたりで一緒に···のんびりと歩くために。
まだ来ないバスを探すように、信号の先をジッと見続けた。
···来ねぇな。
今日はいつもより、バスが遅れてんのか?
まさか···事故···?
そんな考えが浮かびソワソワした頃、ようやく待ちに待ったバスが到着する。
『貫至君お待たせ!』
開いた扉の中から、慌ただしく降りてくる小さな影。
「おはよっス!」
軽く挨拶を交しながら、それが当たり前のように手を繋ぐ。
思い返せば、付き合い始めの頃は手を繋ぐ事さえいちいち緊張してた。
こう、なんつーか···繋ぐタイミングとか分かんねぇし。
お互いにモゾモゾしながら、手探りで。
でも今は違う。
お互いの姿を見つければ、駆け寄ってでも···繋ぐ。
そこにお互いの存在を感じる為に。
『来る途中で事故があって、渋滞しちゃってて···貫至君、待ちくたびれたでしょ?』
「いや、待ってる間もずっと紡の事を考えたから」
『私のこと?それって、どんな?』
「どんな?って···いろいろッス」
紡は、ふぅん?と覗きながら笑い、繋ぐ手にキュッと力が入る。
『あの、さ?今日って···放課後の部活、ないじゃん?』
「あ?あぁ···」
確か、そんなような事を二口さんが言ってたな。
『でね、えっと···学校終ったら、私んち···来ない?』
「あぁ、別にいい···いいいいいっ?!」
い、家?!
「なななっ、何で?!」
いきなり家に誘うとか、なんで?!
こ、これはアレか?!
その、な、なんだ···いや!ダメだろ!
「まだ早いだろ?!」
『えっ?!』
しまった!!勢い余って心の声が!!
『まだ、早い···かな?』
「早いッス!だってオレたちまだ、」
『お母さんが貫至君を紹介しなさいって、ずっと言ってて···』
「···え?!」
『え??』
···紹介?って、あの紹介?
か、かかかかか彼氏です!とかの、紹介?!
二「ぎゃっはははは!!見たか青根?!今のコガネの動揺っぷり!」
···二口さん、いつからいたんスか。