第15章 スポーツの秋?それとも恋の秋?!( 黄金川貫至 )
二「つーちゃん、コガネじゃなくてオレが行こうかなぁ?そしたら彼氏としてちゃ~んと、紹介してくれよ?」
『それは···』
青「コガネ···紡の彼氏、お前」
分かってるッス!
「紡、オレは覚悟を決めた。今日···行くッス!!」
『ホント?!じゃあお母さんにLINEするね!来るならご飯用意するって言ってたから!』
ご、ご飯?!
て、手土産とかどうすれば···
いやその前に、だ!
ニヤつく二口さんを振り切らなければ!!
「紡ちょっと走るッス!」
『えっ?!どうしたの急に?!』
「いいから早くッス!」
繋がれた手をギュッと握り直し、オレ達は走り出す。
二「あ、待てコガネ!楽しい会話にオレも混ぜろ~!!って、離せ青根!」
混ぜるかっ!!
そして青根さんアザッス!!!
走りながら考える。
紡の親に、なんて挨拶をしようか?
どんな事を話そうか。
···晩飯、なんだろう。
あ、そこは今考えることじゃねぇ。
紡の親に会うってことは、次は。
学校まであと少しの所で足を止め、二人で息を整える。
「なぁ、紡?」
『なぁに?』
次は···
「今度、オレんちの親にも···会わねぇか?」
それは、紡の親に交際を認められたら···だけど。
『行く···ううん、行きたい!貫至君ありがとう···大好き!』
「あ、おい?!」
ギュッと抱き着いてくる紡に驚いて、オレの体に回される腕を解こうと···
ま、いっか。
うっすらと涙を浮かべて喜ぶ紡の顔を見たら、
オレも···
小さな体をギュッと抱きしめたくなったから。
付き合い始めから前途多難がスタートしたオレ達も、少しずつ···ゆっくり前に進んでる。
前途多難はあってもいい···けど、ずっと一緒にいよう。
小さな願いを込めて、抱き寄せた頭に顔を寄せた。
二「追いついたぞコガネ!!あぁ~?!なに抱き合ってんだ!!」
···前言撤回するッス。
やっぱり···
「前途多難は少ない方がいいッス!走るぞ紡!」
『ええっ?!また?!』
お互い笑い合いながら、オレ達はまた···走り出した。
少しでも多難の少ない未来へ向かって。
~END~