第15章 スポーツの秋?それとも恋の秋?!( 黄金川貫至 )
ひと足早く、体育館の裏で城戸を待つ。
来る、だろうか?・・・それとも・・・
いや、最初に約束したあの時・・・城戸は分かったと、言っていた。
・・・誰かを待つのは、こんなにも長く感じるのか。
大きな体を小さく折り曲げ、外柱の台に腰掛けた。
ぼんやりと柄にもなく空を見上げ、風に流されていく雲を数えながら、この後の事をイメトレしてみる。
どの、タイミングで・・・なんて言おうか。
そんな事を何度か繰り返していると、遠くから微かに、足音が聞こえて来た。
『黄金川君、遅くなってゴメンね!応援団の方の片付けに手間取っちゃって・・・』
・・・来た!
スっと立ち上がり、オレは城戸に全然待ってないから心配いらねぇと伝えた。
『あの・・・それで、黄金川君の話って?』
・・・コッチも来た!!
「あ、あぁ・・・その、だな・・・」
『・・・うん、なに?』
あんだけイメトレしたのに、オレは何やってんだ!
「あ、の!・・・オレは、その、セッターとしてもまだまだ発展途上で・・・周りに迷惑ばっかで!えっと・・・人としても、だな、み、未熟者だと思う、けど・・・!」
あぁぁぁぁぁぁ!!!!
なに言ってんだオレは!!
『こ、黄金川君?とりあえず1回落ち着いてみようか?ね?そうしよう?』
「お、おおお落ち着けるワケねぇッス!・・・あ、いや、と、とにかくだ!」
グッと手を握りしめ、思いっきり、肺が避けるほど息を吸い込む。
「お、オレは城戸が好きだ!!」
い・・・言った!!
『・・・・・・・・・え・・・?』
え?
えぇっ?!
なんで城戸は泣いてるんだ?!?!
「悪い!泣くほど嫌だとか、ホント悪い!!今のはナシでいい!忘れてくれ!」
『違うの!・・・違うの黄金川君・・・なんか、今ので感極まっちゃって・・・』
「・・・え?」
えっと、感極まった?
『それから、これ・・・』
ジャージのポケットから城戸が1枚のカードを取り出し、オレに向ける。
なんかコレには見覚えが・・・?
「あぁーーー!!なんで城戸がぁっ?!」
『リレーが始まる前に、二口先輩に呼ばれて渡されたの。借り物競走の時の、黄金川君のカードだよって』
・・・は・・・はぃぃ?!
なんで二口さんが?!