第2章 子羊とたくさんのオオカミ?!(縁下 力)
「あっつ~・・・」
流れる汗をタオルで拭きながら、ふぅ、と息を吐いた。
木「縁下でもそう言うこと零すんだな?」
「どういう意味だよ・・・」
木「あ~いや、なんか縁下って普段から飄々としてて、いつも涼しげな顔してっからさ?」
なんだよ、それ。
「俺だって、暑いもんは暑いし、痛い時は痛いんだよ。同じ人間なんだから」
木「そうかぁ?」
「アホか木下」
呆れながら言うと、なんの話ですか?と小さな姿がひょっこり現れた。
『はいどうぞ?縁下先輩の分と木下先輩、はい成田先輩も』
「ありがとう、城戸さん。自分も水分補給しなきゃダメだよ?」
ポンっと頭に手を乗せて言うと、城戸さんはニコリと笑い返して来た。
・・・ヤバイ。
今の笑顔、カワイイとか思ってしまった。
ムズムズする口元をタオルで隠した。
木「おやぁ?縁下、その顔はどうしたんだぁ?」
見られてたのか?!
「うるさい、ほっとけよ」
『どうかしたんですか?』
顔を覗かれ、更に熱くなる顔をタオルで隠した。
「何でもないよ?木下がアホなだけ」
『木下先輩が?』
木「オレのせいかよ!」
騒ぐ木下を放置して、受け取ったばかりのスクイズに口を付けた。
『何でもないならいいですけど・・・具合いが悪いとかケガしたかもとか、そういうのはすぐに教えて下さいね?早めの処置は大事ですから』
そう言いながら城戸さんは、たすき掛けにした城戸さん特有の物を摘み上げ、ね?と念を押す。
「了解。そういう時はちゃんと教えるから安心して?」
そう返すと、またニコリと笑って見せた。
やっぱ・・・カワイイよなぁ・・・
スガさんが構いたくなる気持ちが分かるよ。
『じゃ、私行きますね?山口君にもスクイズ渡さ、』
田「お嬢!!オレにもドリンクくれ・・・」
『ひゃぁぁぁぁぁぁぁ!!』
「っと?!」
突然何かに驚いた城戸さんが、勢いよく俺に抱き着いてきた。
小さな体を受け止めながら、いったい何に驚いたのかと見てみれば・・・
床に転がっていた田中が城戸さんの足首をガッツリと掴んでいた。
「田中!いきなり足首掴まれたら誰だってビックリするだろ」
田「ス、スマン縁下!捕まえないとお嬢が行っちまいそうだったから、つい」
むくりと起き上がり、田中が頭を掻いた。