第13章 オレの道標··· ( 東峰 旭 )
『私が···どうかしました?』
オレと影山の間からひょこっと顔を出す城戸さんに、スガが満面の笑みを見せる。
菅「このあとさ、予定がなかったら一緒にファミレスでもどうかな?って」
『せっかくのお誘いなんですけど···』
菅「えぇ~?もしかして都合悪い?」
『今日は先に約束してる事があるんです。東峰先輩と···それから影山と!ね?二人とも?』
そう言いながら城戸さんはオレと影山の腕に自分の腕を絡ませ、ニコニコと笑った。
影「あぁ、まぁ···」
菅「旭···独り占めズルいぞ!」
独り占めって···オレだけじゃないだろ、影山もいるんだから。
菅「あ~さ~ひ~!!」
「あ、えっと···アハハ···」
ジリジリとスガに詰め寄られ、思わず一歩下がる。
『菅原先輩?残念ですけど今日のところは東峰先輩は譲れませんよ?だって凄く楽しみにしてたんですから、私!』
菅「そんなに楽しみにしてたとか、いったいどこへ?」
『どこって···』
チラリとオレと影山を交互に見てから、城戸さんはスガに向き直した。
『ナイショ!』
菅「ナイショ?!ますます怪しい···」
『だって···急にたくさんで行ったらビックリしちゃうから』
影「そういう事なんで。じゃ、城戸、着替えて来る。東峰さんも行きましょう。もたもたしてると、城戸が拗ねる···」
『拗ねないよ!』
影「いつもすぐ拗ねんだろ!」
『拗ねてない!』
仲良しだなぁ···と、やっぱり思う。
大地やスガ、それから清水とはそれなりに話をしたりふざけ合ったりはするけど。
それでもこの二人のように···というわけではない。
あと2年遅く生まれていたら、オレもこの二人の仲間入りしていたんだろうか。
なんて、つまらない事まで考えてしまう。
歳の差ふたつ。
たったふたつの差が、それだけで学生時代は大きな差が出来てしまう気がして。
何となくジトっとしたスガの視線を浴びながら、影山と一緒に部室へ向かい着替えを済ませる。
···そういえば、初めて会うおばあさんにお昼ご飯までご馳走になるのに手ぶらでいいんだろうか。
その辺も含めて、城戸さんに相談してみよう。
影「東峰さん、支度終わりました。アイツ待たせるとうるさいんで行きましょう」