第13章 オレの道標··· ( 東峰 旭 )
菅「違う!」
『違います!』
「違う、のか?」
オレの返しに起き上がった二人がが大きく頷く。
『棚の上にある粉末ドリンクの段ボールが予想以上に重たくて、踏み台使ってたからバランス崩しちゃって』
菅「だからオレが取ってあげるって言ったのに」
···?
そういうこと?
なんだ、そういう事だったのか。
ア、ハハッ···なんだ···そっか、よかった。
なぜだか心底ホッとしてる自分に驚きながらも、事の次第を理解して瞼を閉じた。
その後は、今度は3人で散らばった物を片付けて部室を後にした。
『あの、東峰先輩?やっぱり私が持ちます···』
スガの傘に入れられながら、城戸さんがオレに申し訳なさそうに声をかけてきた。
「これくらい何ともないから」
『でも···』
菅「重たいものは旭に持たせとけばいいんだって。ほら、紡ちゃん?もっとこっち寄らないと濡れるから」
言いながら肩に手を回すスガをスルっと交わして、スガさんこそ濡れたら困るからと城戸さんは一定の距離を保っていた。
菅「なんでだろう···西谷は平気だったのに、オレはダメなのか?」
そんなスガの呟きは軽くスルーされ、そのまま体育館へと着いた。
既に練習は始まっていて、随分と遅れて来たオレとスガは大地に怒られそうになったけど。
それは城戸さんが大地に事情を説明してくれて、怒りのカミナリから逃れる事が出来た。
オレやスガもすぐに支度して練習に入り、何度目かの休憩になると···次第に気付くことがあった。
日「城戸さ~ん!バンソーコー頂戴!ちょっと擦りむいた!」
『はーい!日向君ちょっと待ってね?』
日向、絆創膏くらい自分でも貼れるだろ?
月「ポチ。これ、明日はもっと甘くして」
『もっと?うん、わかった』
月島、城戸さんはお手伝いさんじゃないからな?
山「あの、城戸さん?テーピング巻き直したいんだけど···」
『いいよ、手伝ってあげる』
山口、左手のテーピングは右手で出来るだろ?
影「···腹減った」
『もう、仕方ないなぁ。はい、ひと口チョコね』
城戸さんが包み紙を開けて、影山の口に放り込む。
···何で影山だけ新婚さんいらっしゃい?!
そういや大地が今朝、言ってたっけ。