第13章 オレの道標··· ( 東峰 旭 )
菅「待て待て待て!何でオレが紡ちゃんを襲う予定で話が進んでる?!」
「いや、だってスガは下心アリアリって」
『下心?』
菅「ないから!絶対ないからねっ!ちょっと清水にセクハラ大王って言われてるだけだからね!」
自分でセクハラって言っちゃってるよ、スガ···
しかも、大王かよ。
「とりあえず、先に行ってるから」
何か言いたそうな顔をした二人を残して、オレは部室のドアを閉めた。
雨はまだやむ気配はないなとため息を吐いて歩き出す。
階段を降りようとした所でガタンっと大きな音が聞こえて。
『きゃっ!スガさん?!』
城戸さんの小さな悲鳴が聞こえて。
城戸さんの小さな悲鳴が聞こえて?!
おいおいっ!
何が起きたんだ?!
大地、を呼びに行く暇はないな。
歩き出した時よりも大きな歩幅で部室へと戻り、ドアを開けた。
「凄い音がしたけど、どうした、の···って···ええっ?!」
一瞬···目の前の光景が理解出来なくて。
瞬きも忘れて、呼吸さえ···止まる。
『東峰先輩···』
ドアノブを掴んだまま硬直しているオレを、ジッと見つめる城戸さんの目···
いったいどういう?
城戸さんが床に仰向けで倒れていて。
その向かい···というか、上には、スガが覆いかぶさっていて。
えっと···なんて言うか、なんて言うんだっけ···
あぁ、そうだ。
確か···床ドン?って言うんだっけ?
菅「···旭?あのっ、こ、これはだな!ち、違うぞ?!」
思考回路がショートしそうなオレを、むくりと起き上がりながらスガが振り返る。
「お···」
菅「お?」
「お邪魔しました···」
どうしたらいいか分からず、思わずそう言ってドアを閉めようと一歩下がった。
菅「待て旭!誤解だよ!···旭!!」
『東峰先輩、待って下さい!』
え?
誤解?
必死にオレを呼び止めるふたりを、もう1度見て、状況を確認すべく深呼吸してみる。
菅「旭が考えてるような事は絶対ないからな!誤解だからな!」
『スガさんは踏み台から落ちた私を庇ってくれたんです!···ほら!この惨状を見て下さい!!』
落ち着いてよく見てみれば、ふたりの周りには粉末ドリンクの箱が散らばっている。
「でも今、床ドン···」