第12章 カッコイイって、難しい。 ( 山口 忠 )
「1日中たくさん遊べたね!ほとんど制覇しちゃったかもね!」
う~ん···と伸びをしながら言えば。
『え?あ、う、うん!そう···だね!』
あれ?何か歯切れの悪い感じ?
もしかして乗ってないやつまだあったかな?
パンフレットを見ながらチェックしてみる。
「あっ!まだあったね、乗ってないやつ!···ほら!観覧車!」
『あ~···そ、そうかも、ね』
どことなく様子がおかしい城戸さんを見て、やっぱり女の子だから観覧車とかゆっくり乗りたいんだろうなぁと考える。
でも···観覧車って、確か叔母さんが···
ー 観覧車に乗ったらキスよ!キス! ー
···出来るわけないよ!
ってか、する訳ないじゃん!
ん?もしかして城戸、オレに襲われたらどうしよう、とか考えて敢えて観覧車避けてたとか?!
「そんな事しないのに!」
『えっ?!』
「あっ!···ご、ごめん、何でもない!」
バカバカバカっ!オレのバカ!
なについウッカリ声に出しちゃってんだよ!
余計に怪しまれるだろ!
「とりあえずさ、1個だけ乗らないで帰るのもなんだし、観覧車行こっか?」
『観覧車···』
どうしたんだろう、城戸さん。
「えっと···やっぱり、やめ、」
『行こう!大丈夫、覚悟は決めたから!』
「か、覚悟って?!」
···なんの覚悟?!
襲われる覚悟?!
いやその前に襲わないし!!
疑問符を浮かべるオレを置いて、城戸さんが歩き出してしまう。
それを追いかけるように、オレも歩きだした。
観覧車乗り場に着くと、やっぱり予想通り···
ー カップル限定チケットのお客様は、こちらのブランケットをご利用ください ー
そう言って手渡して来たのは···
「なんでこんなにハート柄なんだろね···」
超が付くほどのどピンクのブランケットに、真っ赤なハート柄がいっぱいプリントされてて。
行く先々での、ある意味で難関をこなして来たオレからしたら、次はどんな事をされるんだろうとか思ってたけど。
他の人に配られるブランケットを見ると、普通に無地の物で···オレ達に渡されたのは、ひと目で特別だと分かるやつで。
さすがに城戸さんも···と思えば。
『すっごい可愛いプリントだね!』
そう来たか!だし。