第12章 カッコイイって、難しい。 ( 山口 忠 )
それはオレだけじゃなく、城戸さんも思ったようで。
『ねぇ、今の声ってさ?』
「···オレも同じこと思ったよ」
バタバタと足音がして、すぐに声の正体がわかった。
ー あれ?!山口!···と、城戸さん? ー
···やっぱり?!
『こ、こんにちは日向君』
「や、やぁ···日向。遊園地に来てまで自主練するとか、偉い···ね?」
何で日向がここにいる?!
ー お兄ちゃ~ん!なにしてるの~? ー
だ、誰?!
『あっ!夏ちゃん!』
夏「紡お姉ちゃん!」
日向にそっくりに小さな女の子が駆け寄り、城戸さんに抱き着いた。
『夏ちゃん達も来てたんだ?!凄い偶然だね!』
夏「うん!今日はお兄ちゃんの部活がないし、たまには行こうかって、お母さんが連れてきてくれたの!」
『そうなんだ?!良かったね、夏ちゃん!』
夏「うん!紡お姉ちゃんにも会えたからうれしい!」
『私も嬉しいよ!』
女子トーク?で盛り上がる二人とは対照的に。
日「山口···お前もしかして城戸さんとデートか?!なぁなぁ!デート?!」
「ち、違···わないこともないこともない···」
日「それってどっちだよ?!あ!なにそれ!何で二人して猫耳とか付けてんの?!」
「う、うるさいよ。いいだろ別に」
日「あ···もしかして、付き合ってんのか?山口と城戸さん···」
「···違う」
日「じゃあ、何でお揃いで猫耳とか?山口、猫好きなのか?」
···と、変なテンションの日向の追求攻撃。
「そこはあんまり深く追求しないで···」
そう言うと日向は、ふ~ん?と言いながら首を傾げた。
ー 翔陽?!夏?!何してるの?! ー
日「あ、やべ。夏!行くぞ!···山口またな!」
夏「お兄ちゃん待って!紡お姉ちゃん、バイバイ!」
『またね~!』
日向に、バレた。
って事は、みんなにバレるのも時間の問題だな。
『山口君、お弁当食べちゃおう?』
城戸さん意外と普通?!
日向に見られた~!とか、心配もなし?!
そんな事を考えて、胸をチクリとさせながら、オレはお弁当の続きを食べた。
その後は···また、絶叫マシンに何度も乗り。
気が付けば夕日が顔を出す時間が訪れていた。