第12章 カッコイイって、難しい。 ( 山口 忠 )
お化け屋敷では絶対に手を繋いで歩く、だとか。
メリーゴーランドでは二人乗り用の真っ白な馬に乗る、だとか。
コーヒーカップでは肩を寄せ合った写真を撮る、だとか。
って、どんなサービスなのコレ!って思いながらも。
···これは宝物にしようとか思っちゃう自分が悲しいけど。
でも、オレがドキドキハラハラしていても城戸さんが凄い楽しそうだから···ま、いっか?
『たくさん遊べたね!』
「だよね!何かよく分かんないサービスとかあったけど面白かったよね!」
『ホントホント!山口君の叔母さんに大感謝しなきゃ!』
それはどっちかって言ったら、オレの方だけどね!
叔母さん!ありがとう!!
『ところでさ?そろそろお腹空かない?』
そう言われて何気なく時間を見れば、お昼の時間はとっくに過ぎていた。
「わっ、もうこんな時間なんだ?!どうりで···」
『お腹空いたと思った!でしょ?』
「正解!」
二人で顔を見合わせてケラケラと笑った。
『そしたらさ、どこかでお昼食べよう?今日は気合い入れて作って来たから、たっくさん食べてね?』
「やった!」
パンフレットを広げて、どこで食べようかと二人で相談する。
「あ、ここはどう?なんか広場みたいな所があるよ?」
『ホントだ···ここからすぐ近いみたいだね。そこにしようか?』
うん!と頷いて、地図を見ながら広場へと向かった。
まさか、その広場にも難関が待っているとは、思わなかった。
芝生で整えられた広場に敷物を敷いて二人で腰を下ろす。
城戸さんが、少し楽しそうに持ってきてくれたお弁当を広げて行くのを眺めては、オレって数年分のラッキーを今日1日で使い果たしているのかも知れないとか、ちょっと思ってた。
『はい、お待たせ!たくさん食べてね!』
「凄い···どれもみんな美味しそう!いただきます!」
『どうぞ、召し上がれ』
城戸さんのお弁当はホントに美味しくて、こんなお弁当が毎日食べられたらいいのに!なんて思いながら···なんか照れた。
食べ始めて少し経った頃、オレ達の前にボールが転がって来た。
『バレーボール?』
「本当だ、こんなところに来てまでコレを見る事になるとはね」
ー すいませーん!ボール取って下さーい!! ー
あれ?何か聞き覚えのある声だけど···