第12章 カッコイイって、難しい。 ( 山口 忠 )
オレも···なんて思っちゃったりするのは、欲張りかな?
確か叔母さんは、遊園地入ったらさりげなく手を繋ぐのよ!なんて言ってたけど。
さりげなく手を繋ぐって、どうやったらいいんだろう?
歩きながら、時間を見るフリをして···こっそり検索してみる。
« 女の子と手を繋ぐ方法 »
スマホの画面が検索結果を表示するのにグルグルと動き出す。
« さりげなく、そっと手を繋いでみましょう »
···だーかーらー!それを知りたいんだってば!
······もう1回。
« さりげなく とは? »
またスマホの画面が動く。
« ごく自然に »
···って、わかんないよ!!
あぁもう!
画面をダブルタップして消す。
『あ、山口君!あれ乗ってみようよ!楽しそう!!』
手を繋ぐ事にモヤモヤするオレに、城戸さんが元気に声をかける。
「え、イキナリあれ行っちゃう?!」
『新しいみたいだから、混雑する前に行っちゃった方がいいかな?って、思ったんだけどダメ?』
猫耳の城戸さんからお願いされたら···
「全然ダメじゃないよ!行こう!」
って、言うしかないじゃん!!
浮き足立ちながら早足で歩き始める。
『あ、山口君待って!』
おっと、そうだった。
歩幅、だよね!
「城戸さん、ほら早く!」
無意識に腕を伸ばし、城戸さんの手を引いて駆け出した。
···あれ?
オレって今、城戸さんと手を繋げてる?
さりげなくって、こういう事なのか!
しっかりと繋がれた手を見て、妙に嬉しくなる。
これで見た目だけでもカップルっぽいじゃん!
見た目だけね···そう、見た目だけ。
それでも、とりあえずは全然オッケー!
自分で自分を慰めながらブンブンと繋いだ手を振りながら進んだ。
新しい絶叫マシンの列に並び、次なる難関がオレを迎えた。
ー カップル専用チケットのお客様は、優先通路からお乗り頂けます。どうぞこちらへ ー
そう言われて案内されたのは最前列···
マジ···?
これにはさすがに城戸さんも怖いんじゃないかと顔を見れば···
『わぁ···凄い!一番前に乗れるんだって!』
なんで超嬉しそうなのっ?!
ゴメン城戸さん、オレちょっとビビってる···
一番前って、ねぇ···