第12章 カッコイイって、難しい。 ( 山口 忠 )
「うわぁっい!!」
『うわぁっい?』
「なななんでもないよっ!へへ変な事しようとかおもったりしてないよ?!」
『···変なこと?』
ヤバいオレ!
何言ってんだ!
「ホントに何でもないから!それじゃ、そろそろ行こっ!」
無理やり話を途切らせ、城戸の手を引いてスタスタ歩きだした。
あと少し、来るのが遅かったら···マジでヤバかったな。
落ち着け、オレ。
歩きながら軽く深呼吸して、気持ちを整える。
よし···大丈夫。
『あのっ、山口君?』
引いていた手が、ツンっと引っ張られ足を止める。
『もうちょっとだけ、ゆっくり歩いてくれると···助かります···』
え?
「あっ!ごっ、ゴメン!」
何やってんだよオレ!
城戸さんの方が小柄なんだから、歩幅とか、速さとか、なんかそう言うのちゃんと考えなきゃじゃん!
『あ、それから···荷物も···』
「荷物?···あっ!!なんかいろいろゴメン···」
『違うの、ずっと持っててくれたから悪いなぁって』
あ、そっち?!
「別に平気!これくらい何ともないからオレが持っててあげるよ!」
そう答えて、城戸さんの荷物を持ち直す。
「さ、夢の国のゲートはすぐそこ!行こっ!」
『うん!』
肩を並べて、今度はゆっくり歩き出す。
小さな歩幅に合わせて歩くのも、恋人っぽくていいな···
···こ、恋人?!
オレ達って、周りからそう見られてるのかな?!
何となくドキドキ、ソワソワしながら顔が緩んでいくのを止められない。
『山口君、何だか楽しそう』
クスリと笑う城戸さんに、だって遊園地だよ?!と言い訳をしながら、オレ達は受付ゲートを目指した。