第12章 カッコイイって、難しい。 ( 山口 忠 )
遊園地行くって決まってんのに、今更プランとか言われても・・・
大きなため息と共に、スマホを閉じる。
とりあえず、待ち合わせに遅れないように駅に行こ・・・なんて事を考えながら歩いてたら、待ち合わせ時間より30分以上も早く付いちゃったよ!
何度時計を見ても、城戸さんとの待ち合わせ時間はまだ先・・・
こんなに早く着いたのが知られたら、オレがワクワクして早く来ちゃったみたいに思われちゃうじゃん。
時間まで、どこか別の場所に・・・
『あ・・・山口君?!』
名前を呼ばれ顔を上げれば、そこには軽くメイクもした城戸さんが・・・
「城戸さん?!えっ、なんで?!時間にはまだまだ早くない?!」
『それは山口君も、だよ?』
いやまぁ、それはそうなんだけどさ。
オレが呆気に取られていると、城戸さんはちょっとだけ照れたように笑いながら、実は・・・と話し始めた。
『私・・・ね。山口君も知っての通り小さい時からバレーばっかりだったから、その・・・誰かと遊園地、とか・・・行ったことなくて。それで、その、楽しみ過ぎて早く着いちゃったというか・・・』
えぇっ?!
「だって城戸さんって確か、前に・・・彼氏とかいたよね?!」
『えっ・・・あ、うん・・・そうなんだけど、2人で出掛けたりとか、なかったし』
・・・バカバカ!オレのバカッ!!
なにイキナリ出だしから、思い出に残る楽しい会話じゃない方の会話しちゃってんだよ!
「あ、じゃ・・・じゃあさ!オレが初めての経験って事だよね!!」
『や、山口君!声大きいから・・・』
ギョッとされて口を押さえられ、周りを見れば・・・
なんでオレ、周りから凄い見られてるんだろ?
・・・なんで?
『あのさ山口君、とりあえず行こうか?ここ、日が当たって暑いし、ね?』
そうだね!って答えて、駅の中へと入って行く。
日曜日の朝ともなれば、会社や学校とかないからガラガラだよね、と思っていたオレは甘かった。
ホームにはいかにも運動部の遠征組らしき中学生や親子連れでゴチャゴチャしてて。
これじゃ城戸さん小柄だから埋もれちゃう!って心配して見れば・・・
『意外と平気だよ?山口君って背が高いからよく見えるし。それに、埋もれそうになるのは普段からので慣れてるから』