第12章 カッコイイって、難しい。 ( 山口 忠 )
母「よくやった忠!!お母さん褒めちゃう!お父さんにも電話しなきゃ!」
「何で?!意味分かんないよ!!」
母「あ、もしもしお父さん?あのね忠がね!」
行動早ッ!!
・・・あぁもう、なんか面倒だから早くご飯食べて寝よ。
明日の待ち合わせに遅れたりしたらヤバイし。
お母さんが電話に夢中になってるうちにご飯を食べ終え、歯磨きまで一気に済ませて部屋に戻った。
ベッドに飛び込み、寝坊しないようにアラームを幾つも仕掛ける。
明日、何着て行こうかな?
ダサくなくて、でも、オシャレすぎないやつ!
だって、張り切ってると思われたら・・・なんかダサいじゃん?
クローゼットやタンスを開けては洋服を合わせたり、靴下まで選んだり・・・アレやコレやと組み合わせて、ふと気付く。
オレ・・・もう既に張り切ってる?!
ひと通りの明日の服を用意して、そのままベッドに潜り込む。
明日の事を考えると、ワクワクとドキドキでなかなか寝付けない・・・と思っていたけど。
部活で1日体を動かしているせいもあって、あっという間に眠ってしまった。
翌朝、アラームが鳴る前に目が覚めて、オレはどんだけワクワクしてんだよ!と自分でツッコミを入れる。
運動会とか遠足とかの日の小学生みたいじゃん!
・・・寝坊するよりはイイけどさ。
鏡を見て、立派な寝癖の存在に気付いて、慌ててシャワーを浴びに行く。
洗面所を占領してドライヤーを掛けてると、歯磨きをしに来たお父さんがオレを見て何か言いたそうにニヤニヤしてるけど・・・無視。
絶対お父さん、変なこと考えてるよ。
早く朝ご飯食べて出かけよ・・・
父「忠・・・今日、初デートなんだってな?」
うわぁ来たァ・・・お母さん、ホントに全部報告したのかよ・・・
「べ、別にお父さんには関係ないじゃん」
父「まぁ待て待て。ほら、臨時小遣いやるからさ・・・お母さんには内緒な?」
パジャマの胸ポケットから五千円札を取り出しオレに握らせる。
「こんなに?!」
父「いいから持ってけ。その代わり、うまく行ったら超絶かわいい子、今度家に連れて来なさい」
うまく行ったら・・・って、イヤイヤイヤ!
お父さんゴメン!多分それナイ・・・
お母さんには内緒だぞ?と念を押され、しっかり臨時小遣いを貰ったまま洗面所を後にした。