第12章 カッコイイって、難しい。 ( 山口 忠 )
「それに、あの子の事・・・好きなんでしょ?」
「な、なななな何言ってんだよ!」
「隠しても私には分かるんだよね~。お風呂も一緒に入った仲だから」
「そんなの!」
子供の頃の事じゃないか!
「カップル専用だから、色々と特典付いてるみたいだし?これを機会にグッと近付いて、あわよくばモノにしちゃいな?」
「バカじゃないの!!でも、折角だからコレは貰っとく・・・」
「カップル専用だからね!間違ってもツッキーとか誘っちゃダメよ?」
分かってるよ!と大きく返事をして、叔母さんを部屋から追い出した。
・・・ってのが、この、チケットを貰った経緯なんだけど・・・
部活が終わってから、みんなが周りにいないことを確認して城戸さんに声をかけた。
急な話だけど、運良く明日は部活ない日だし。
誘ってみるなら、今しかない!って、思ったんだけど・・・
『明日、かぁ・・・』
城戸さんから聞こえたのは、何とも微妙な言葉・・・
「あ、や、やっぱり急だし!ムリだよね!ゴメンね、なんか!」
やっぱり、ダメだったか・・・
そりゃあ、そうだよね・・・
いつも城戸さんと仲良くしてる影山とか、ツッキーとか、澤村さんとか・・・その人達に比べたら、オレなんて取得もないし、カッコイイとかそんなのも・・・ない、し?
『山口君?もしかして私が断るとか・・・思ってる?』
ちょこんとオレの顔を覗いて、城戸さんが笑った。
「えっ?!じゃあ?!」
『もちろん!明日かって思ったのは、お弁当の材料間に合うかな?ってこと』
お弁当・・・材料・・・
「いいの?!ホントにいいの?!」
さっきまで急下降していたテンションが、もの凄い勢いで急上昇して行く。
『じゃあ、待ち合わせ何時にどこにする?』
「え、駅で!時間は・・・えっと、どうしよう・・・後でLINEするよ!」
『うん!連絡待ってるね!』
「じゃ、後でね!」
やばい!超やばい!
嬉し過ぎて今夜寝れるかな?!
浮き足立って家に帰ると叔母さんは帰った後で、オレはなんとなくホッとした。